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2024.03.07 センター事業 レポート 地域ESD拠点 

<開催報告>ESD for 2030学び合いプロジェクト「気候変動に適応した実践型防災教育」避難所開設訓練in流山、『ワークショップ「防災モードスイッチオン!」』

 関東地方ESD活動支援センターでは、令和4年度より「ESD学び合いプロジェクト」として、「気候変動による影響と対策に関する、学びと実践」をテーマに、プログラムを実施しています。令和5年度は、前年度の取り組みの波及を目指し、3つのモデル地域に対象を広げ、専門家の方を交えて学びあいを行っています。昨年度から継続して連携している流山防災まちづくりプロジェクト(NBMP)は、男女共同参画の視点から、ジェンダー平等など多様な人々が安心安全に過ごせる避難所開設訓練を小学校などを対象に実施しており、この取り組みに関心を持たれたガールスカウトの方とのコラボ企画になります。
 今回は、2部構成となっており、午前はESD学び合いプロジェクト「気候変動に適応した実践型防災教育」避難所開設訓練in流山。午後はガールスカウト「地域で防災を考える会」が中心となり、『ワークショップ「防災モードスイッチオン!」』を開催しました。

 

【実施概要】

日時 令和6年3月3日(日)10:00~15:00
場所 流山エルズ(流山市生涯学習センター)
参加者 65名
参加費 無料(要お申込、先着順)
午前の部:10:00~12:00
ESD for 2030学び合いプロジェクト「気候変動に適応した実践型防災教育」避難所開設訓練in流山
定員 100名
主催 流山防災まちづくりプロジェクト(NBMP)
関東地方ESD活動支援センター(関東ESDセンター)
協力 ガールスカウト「地域で防災を考える会」
午後の部:13:00~15:00
みんなで地域の防災を考えよう『ワークショップ「防災モードスイッチオン!」』
定員 45名(会場スペースが限られるため)
主催 ガールスカウト「地域で防災を考える会」
協力 流山防災まちづくりプロジェクト(NBMP)
関東地方ESD活動支援センター(関東ESDセンター)

 



 

これまでの本プロジェクトの取組み

 

 【プログラム】

ESD学び合いプロジェクト「気候変動に適応した実践型防災教育」避難所開設訓練in流山

 

趣旨説明(関東地方ESD活動支援センター)

ESD for 2030学び合いプロジェクトとして昨年度より実施してきた「気候変動に適応した実践型防災教育」に関する説明。

 

温暖化による気候変動について(千葉県気候変動適応センター)


発表資料(PDF:965KB)

 

<発表要旨>
地球温暖化について
人間活動の影響により、大気中の二酸化炭素(CO2)など温室のように地球をあたためる効果をもつガスが急激に増加。100年で1.2℃のペースで上昇しており、世界の年平均気温は既に上がっている。
地球温暖化による影響について
陸域の氷床・氷河の減少や海水温の上昇により、水の体積が膨張し、海面水位が上昇。また空気の温度が上がると、ため込むことができる水の量(飽和水蒸気量)が増加し、大雨の頻度、強度が増加、雨の降らない日が増加するなど、雨の降り方が極端化する。
「緩和」と「適応」について
気候変動への対策として、地球温暖化の原因である温室効果ガスを出す量を減らす(=緩和)と同時に、地球温暖化が進んでも安全に生活できるように工夫(=適応)することも必要。緩和策として私たちにもできることは、省エネ家電やLEDの使用、クールビズ・ウォームビズの実施、ごみを減らしリサイクル推進、地産地消推進、食ロス削減など。適応策として私たちにもできることは、災害への備え(モノ・情報)、こまめな水分補給や帽子・日傘の使用による熱中症予防、グリーンカーテンや打ち水による生活環境での暑さ対策、天気予報をこまめにチェックなど。

 

「土地の成り立ちを知る事の重要性」(関東地方ESD活動支援センター)


発表資料(PDF:478KB)

 

<発表要旨>
縄文海進
地球の自然の気候変動サイクルにより、約6,000年前の縄文時代は年平均で今より1~2℃気温が高く、海面が今より2~4m高かった時代があった。東京湾は埼玉の栗橋、川越あたりまで広がっており、霞ヶ浦から、印旛沼、手賀沼は、香取海(かとりのうみ)と呼ばれる大きな内海が広がっていた。
千葉県は貝塚数が日本一
千葉県は、海面上昇の影響を受けやすい地形であり、貝などを獲っていた縄文の人々は、当時の海岸線近くに住んでおり、現在では内陸にある場所でも、多くの縄文遺跡や貝塚がある。日本には約2500個所の貝塚があるとされ、そのうち約650か所は千葉県にあり、全国の1/4近く、日本で一番貝塚が多い。こうした場所は現在でも海抜が低く、水害の影響を受けやすい地域と言えます。
川がどこを流れているか知っておく必要がある
平成27年の関東・東北豪雨により、茨城県常総市は甚大な被害を受けた。常総市での水害を起こした大雨は、常総市より北に遠く離れた栃木県日光市付近で降った雨により、鬼怒川が増水して起きた水害だった。自分の家の周辺で大雨にならなくても、上流で大雨が降れば大きな被害を受けることがあることを、知っておくことが大切。
自分で調べる
学校では、地域の地形について学ぶ機会が少ない。できれば自分で能動的に調べて、実際歩いたり自転車で走ったりして地形の起伏を体感することで、より深い理解につながる。次にハザードマップの解説をしてもらうが、ハザードマップで洪水警戒になっている場所は、元々は海だったなどの土地の成り立ちがあるので、理屈を分かった上でハザードマップを見ると、より深い理解が得られる。特に避難が必要な際、どのような経路が安全かなども分かるようになる。

 

ハザードマップについて(流山市 市民生活部 防災危機管理課)


流山市洪水ハザードマップ(流山市ホームページへ)

 

<発表要旨>

ハザードマップの赤いところが浸水想定エリアで、想定される水深によって色分けされている。どのような雨が降ったら浸水が起こるのか、データ的な根拠を理解する必要がある。江戸川が決壊する場合は、どのような状況か正しく恐れることが大事。江戸川の上流は群馬県で、その地域で3日で590mmの雨が降ると洪水の危険がある。流山の年間降水量は約1300mm。流山市の年間降水量の半分近くの雨が3日で降るということ。近年気象情報の精度が上がっているが、線状降水帯の予報は難しい。市でも危険が迫ったら、5~3日前ぐらいから市民向けに注意喚起のメールを送ったりしている。地震は突発的だが、水害は早く避難をしていれば助かる。市も情報提供するが、皆さん自身でも積極的に情報を収集して欲しい。洪水の場合は、避難のタイミングが大事。マイタイムラインを作成する方法なども書いてあるので、家族と一緒に考えて欲しい。避難するときは、隣近所の方にもお声がけしていただけると有難い。

 

避難所開設訓練(流山防災まちづくりプロジェクト)


発表資料(PDF:1.29MB)

 

皆さん寒くないですか?能登の人たちも、実際これよりもっと寒い中で避難している人もいます。

<発表要旨>

これまでの取り組みについて
2018年9月にパートナーシップながれやま主催の女性防災リーダー養成講座参加者が集まり、2019年4月に流山防災まちづくりプロジェクトが発足。学校や自治会などで、多様性に配慮した避難所開設訓練を実施。2022年からは関東ESDセンターのESD学びあいプロジェクトに参加し実施してきた。
避難所 3つのキーワード
避難所はその時、その場にいるメンバーで立ち上げ、運営していくものです。
コロナ禍における避難所開設の際の最優先事項は感染症対策です。
避難所にはいろいろな方が避難してきます。
避難所開設訓練

避難所に必要な段ボールベッド、更衣室・授乳室・簡易トイレの簡易テント、持ちだし袋の中身などの実物を展示し、組み立て方、使用方法を体験した。


東日本大震災の経験を踏まえた命を守る防災教育について
文部科学省防災教育係作成の資料の解説。(発表資料を参照)

 

 【アンケートより】

ご参加者から頂いたアンケートの一部です。

  • 気候変動・地形等が災害に大きな影響がある事を知りました
  • 防災だけでは、ピンと来ないところも、様々な視点のおかげで身近に感じる事ができました
  • 今日の内容は、多くの人に分かってもらいたいと思いました
  • 午前中の内容はすべて新しい発見、気づきがあった。段ボールベッドの設営や、地べたに座れるつらさを知れてよかった
  • とても興味深く、実際の避難所の様子がイメージできた。ルール作りなど、先に出来ることもある

 

 

『ワークショップ「防災モードスイッチオン!」』
進行:ガールスカウト「地域で防災を考える会」

ジェンダー平等×防災
ジェンダー平等の視点から考える避難所の運営

 


当日の午後には、ガールスカウト「地域で防災を考える会」の主催により、ワークショップが開催されました。
自分の居住地のハザードマップを持参し、自治体によって災害リスクが全く違うことを認識したり、避難所での役割(特にアンコンシャスバイアスによる役割の固定化問題)、「私ができること」などを各グループで議論・共有しました。

 

当日の進行資料(PDF:1.0MB)

 

 


今回の協働事業は、当センターが令和4年12月に開催した『ESD地域意見交換会in千葉「千葉のSDGs教育&ESD」Now!』で、流山防災まちづくりプロジェクトの発表を聞いたガールスカウトの方が、「是非ご一緒に活動したい」という出会いがきっかけとなっています。それから1年以上経過しましたが、何度も話し合いを重ね、今回の取り組みに繋がったことは、協働した皆さんとの大きな財産になりました。防災は、自助・共助・公助と言われますが、大きな災害が起きれば行政も被災し、最終的には自力で何とかするしかありません。今回のような「気候変動×地理×防災」の取り組みは、SDGsの様々な分野の課題解決に繋がる技能・知識が多く入っており、気候変動、災害への備えに繋がるものです。一人ひとりがこのような知識・技能を身につけることはライフスキルとしてとても重要なことです。ガールスカウトのキーフレーズである「備えよ、常に」の意味を、改めて感じました。こうした取り組みが、広がることを期待しています。(担当:伊藤)

 

 【主催・お問合せ】

関東地方ESD活動支援センター 担当:伊藤、島田
東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B1F
TEL:03-6427-7975
kanto★kanto-esdcenter.jp(★を@に変化してお送りください)
http://kanto.esdcenter.jp

 

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