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2019.03.25 SDGs関連 センター事業 レポート 

<開催報告> 関東ESD推進ネットワーク 第2回地域フォーラム 「地域でSDGs!」


地域のESD実践者と考える、SDGsに貢献する取り組み

【開催概要】

タイトル 関東ESD推進ネットワーク 第2回地域フォーラム
「地域でSDGs!」
日時 平成30年12月22日(土)13:30~17:30
場所 東京ウィメンズプラザ ホール・視聴覚室
(東京都渋谷区神宮前5丁目53-67)
主催 関東地方ESD活動支援センター
参加者 一般70名+スタッフ11名

 
【企画趣旨】
国連が2015年に定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」は、世界の様々な諸課題に対して17の目標・ゴールを設定し、「誰も置き去りにしない(no one will be left behind)」を基本理念に、2030年を達成年として課題解決を目指しています。「持続可能な開発のための教育」(ESD)は、そうした世界から地域まで多様に存在する社会の課題をそのつながりとともに理解し、解決に取り組む人を育む教育・学習です。関東ESDセンターでは、地域ESD活動推進拠点(地域ESD拠点)とともに、ESDの取組・実践者を支援し、増やし、つながり、ともにSDGsに貢献する取り組みを推進しています。
今回のフォーラムでは、SDGsを自分事として捉え、地域や職場などで実践・行動するにはどうしたしたら良いか、どのような仕組みが必要なのか。地域ESD拠点・実践者をお招きし、皆で考える場として実施しました。
 
※ご発表者の肩書などは、全て当時のものです。
 
【プログラム実施内容】

■開会挨拶

・環境省関東地方環境事務所 環境対策課 佐々木渉課長
・関東地方ESD活動支援センター企画運営委員長/都留文科大学社会学科 高田研教授
 

■趣旨説明

〇関東地方ESD活動支援センター:島田幸子
発表資料(PDF:1.2M)

■事例紹介

4つの地域ESD拠点から、地域でSDGsを推進する実践事例を紹介していただきました。
発表資料(1~4)(PDF:3.8M)
 

〇事例紹介1:地域を理解する、ジオパークと学校連携

鈴木雄介氏(伊豆半島ジオパーク推進協議会 専任研究員)<地域ESD拠点>

発表概要:ジオパークの活動は、自分たちの住む地域にどのような資源があるかを学び、それを活かした持続可能な地域づくりを目指す活動で、ESDとも関連性が高いものです。伊豆半島で行われている、ジオパークを学ぶプログラムを解説するとともに、その推進体制や手法などご紹介いただきました。
 

〇事例紹介2:食品ロス・貧困解消に向け、地域全体を巻き込む

大野覚氏(認定NPO法人 茨城NPOセンター・コモンズ 事務局長)
<地域ESD拠点>
(NPO法人 フードバンク茨城 理事長)

発表概要:食品ロス解消に向けた取組が、各地で行なわれています。資源の無駄を減らせるだけでなく、貧困の対策、ゴミ削減、企業の社会的責任を果たすことなど、様々な課題の解決に有効な取組についてご紹介いただきました。
 

〇事例紹介3:「誰も置き去りにしない」教育に向け、地域と学校が連携

松井晋作氏(多摩大学 高大接続アクティブラーニング研究会 幹事)<地域ESD拠点>

発表概要:SDGsの達成のためには、それを担う人材育成=教育が必要であり、経済的理由で十分な教育が受けられないことによる貧困の連鎖を断ち切るような教育の必要性についてご紹介いただきました。
 

〇事例紹介4:各主体を繋いで取組む、気候変動対策

服部乃利子氏(静岡県地球温暖化防止活動推進センターゼネラルマネジャー)<地域ESD拠点>

発表概要:地域の中で低炭素社会を実現していくために、企業・行政・NPOが連携して実施する、子どもたちへの環境教育、ライフスタイルを変えていく取り組みについてご紹介いただきました。
 
 
~会場をホールから移動~
 

■分科会

全体会で発表して頂いた、4つの地域でESD・SDGsを推進する事例をより深く理解するために、分科会に分かれてグループワークを行った。各分科会では、各課題を解決し推進する上での“肝”が何であるかを明らかにするために、ワークショップ形式によるグループディスカッションを行った。
 
〇グループワーク1
「この取組が、誰にどんな効果をもたらしたか?」
全体会での事例発表中などに、参加者に「良いところ」「ポイント」などを事前に付箋に書いて頂いた。SDGsのターゲットとは無理やり結びつけず、事例がもたらす効果について考えた。
 
〇グループワーク2
取組が成功した要因をあぶりだした。ヒト、モノ、カネ、コトなどの資源や、仕組みやネットワークの関与など、何がグループワーク1で出た効果をもたらしたか、をグループで出し合い、グループ内で最終的にキモを1~2に絞り、紙に書いた。

 

~分科会会場から再びホールへ移動~
 

■全体会

4つの分科会で実施された内容について、分科会でファシリテートを行った、関東地方ESD活動支援センター及び関東地方環境パートナーシップオフィスのスタッフより報告を行い、事例発表の講師の方にコメントを頂いた。

〇分科会1:地域を理解する、ジオパークと学校連携

【取り組みを進める上でのキモ】
・地域の人が、地域の価値を発見し、発信し認めてもらう
・教育支援コーディネーター・ガイドを養成
・SDGs/ESDを道具に、ジオパークの取組をみんなのものにする。地域の文化になるまで継続していく

【ファシリテーターからの分科会報告】
島田幸子(関東地方ESD活動支援センター)

ジオパークのご関係者の方が1/3、ジオパークをちょっと知っているという方が1/3、ジオパークを殆ど知らないという方が1/3という構成だった。ジオパークは話してみると非常に多様な取り組みであり、伊豆半島という大変広い範囲でジオパークに認定されているので、どうやって地域を巻き込んでいくかや、どのような方針を浸透させていくのか、というところが前半の質問で出ていた。
 色々な角度から議論頂いたのでキモが議論百出だったが、ジオパークの取り組みにとってのキモとして話していただいた。「地域の人が地域の価値を発見し、それを発信し、認めてもらう」、認めてもらうというのは、ワイズユース(賢い使い方)として商品化したり観光化したり、お金を地域に落とす仕組みを作り込むことで、教育も普及も保全も進んでいくという事が、この取り組みのキモだろうと。それを支える人として「教育支援コーディネーターやガイドを養成していくこと」もっと言えば、この人たちが居なくても、地域の人がみんなジオパークを語れるようになれば良い。そのためには、「SDGsやESDを道具に、ジオパークの取り組みを関係者だけでなく、みんなの物にする、ジオパークが地域の文化になるまで継続していくこと」が、この取り組みをさらに推進していくためのキモだ、という話し合いがなされた。

【事例紹介者からのコメント】
鈴木雄介氏(伊豆半島ジオパーク推進協議会 専任研究員)

ジオパークで大切にしていきたいのは、自然と人との関わりを可視化していくこと。昔の人は、自然と出来ていた。今と違って堤防もないので、雨が降れば川があふれて、いつも浸かるところには人は住まなかった。或いは、そこに沸いている湧き水を上手く使って生業をしないと、遠くから水路を引いてくるのは難しいので、そこにあるものを上手く使って暮らして来たし、リスクを知って回避するように生きてきたと思う。
そういった事を改めて見つめ直す、或いは現代の社会情勢に合せて作り変えていく、ということをやっていきたいと、皆さんの話を聞いて改めて思った。特に印象的だったのは、災害とか、その風土にあった産業などは、最終的には“文化”という形に落とし込まれていくと思う。今は、ジオパークだから頑張ってやりますとか、ESDを使ってやりますとか、踏ん張ってやらなくてはいけなくって、ガイドが必要だったり、私のような専門家が現地にいないと出来ないが、将来的には、自然とそうした事が地域で出来るような、“文化”という形で落とし込んでいければ良いな、という遠い目標を改めて見直させて頂きました。

 

〇分科会2:食品ロス・貧困解消に向け、地域全体を巻き込む

【取り組みを進める上でのキモ】
・気持ち・アクション
・教育・情報
・システム

【ファシリテーターからの分科会報告】
江口健介(地球環境パートナーシッププラザ)

 第二分科会も、多様な方にご参加いただいた。食品を供給する立場の人も居れば、集める人も居れば、協賛を出す人も居れば、もしかしたら食品を享受する方も居るかという中で、フードバンクのサプライチェーンを考えて、どのような関わり合いができるか、という事を考えた。3つ挙げて、一つは「気持ちやアクション」。勿体ないという気持ちや、より多くの困っている方に届けたいという気持ち。キモだけにハートが大事かと。2つ目は「教育」。消費者をはじめとして、フードバンクの認知度は上がりつつあるが、まだまだ知らない人にどう伝えていくか。「捨てる」という事が、どういう影響を及ぼすのか。自分たちが買って捨てるという事しか普通の生活では見えないけれども、出来る迄、出来た後の事まで思いを馳せることで、教育・情報も大事という事が出た。3つ目は「システム」。フードバンクの取り組みは全国にあるが、それが一本化できるのではないか。どうやって本当に困っている人に届けていくかについては、まだまだ考えていく余地があるなどの意見があった。また、そもそも食品を作り過ぎているのではないか、蛇口を閉めるところから始めないと、という意見があった。フードバンク自体がなくても良い社会が理想とは言え、それに近づくために、今あるシステムをどう良くしていくか、という辺りが意見交換できたと思う。
【事例紹介者からのコメント】
大野覚氏(認定NPO法人 茨城NPOセンター・コモンズ 事務局長)<地域ESD拠点>
(NPO法人 フードバンク茨城 理事長)

すごく多様な方々にご意見を頂いたので、クリエイティブなアイデア等があったかと思う。改めて、フードバンクの良さとか、参加のしやすさというのがあると思った。分かりやすいし、共感もしやすいし、もったいないとか、食に困っている人がいればそれを繋いだり、教育の一環としてやる時も皆で食品を集めてみようとか、アクションの取り易さというのは魅力なのかと感じた。
フードバンクが無い社会が良い社会だと思うので、フードバンクが無くても良いようなものを作ることが必要だが、フードバンクが一番出来ていないのは消費者教育のところで、なぜ食品を捨てるのが良くないのかとか、捨てた食品がどこへ行くのか、それが我々にどうように関係しているのかなど、学校などと連携しながら子供たちに繋がっていくような仕組みをもっと作りたいと思う。小中学校の文化祭などで期間限定で食品を集めて頂いたりとか、大学生と連携して食品ロスで出たものを使った食品を食べるサルベージパーティーとかで、食品ロスについて考える場を作ったりしている。教育の面でESD/SDGsとして、連携して一緒に進めていきたいと思った。

 

〇分科会3:「誰も置き去りにしない」教育に向け、地域と学校が連携

【取り組みを進める上でのキモ】
・コーディネーターの存在
・つながり
・基本的生活習慣(ソーシャルスキルトレーニング)

【ファシリテーターからの分科会報告】
伊藤博隆(関東地方ESD活動支援センター)

最初に講師の松井さんより、追加の情報を頂いた。今の子供達が大人になる頃には、本当に厳しい時代になるだろうと。2030年ぐらいまでは良いが、その先の2040年、2050年という時代では、AIや人口減少が進み、中国やロシアなどがどんどん発展していき、外国人労働者が入ってくる。今の労働環境や社会状況が大きく変わり、どんどん大変になり食えなくなってしまう。その時に、誰も取り残されることなく食えない人を出さない教育が必要。多摩市立青陵中学と都立福生高校での取り組みについてご議論して頂いたが、一番身につけないといけないのは、ソーシャルスキル。挨拶とか基本的な事ができないと、社会に適合できない。そのためには、繋がりが必要。実際に大人と行動を共にする体験をする、大人が必死になってやっている姿を子供たちが見る、というのが非常に大事だという意見も出ていた。それを成立させるために、コーディネーターが必要だと。ESDの世界では良く語られるが、色々なところを繋げて課題解決を果たす、そのキモとして「コーディネーターの存在」が必要という話になった。
【事例紹介者からのコメント】
松井晋作氏(多摩大学 高大接続アクティブラーニング研究会 幹事)

私からは2点。
学校はこれから、開かれた学校にならないといけない。なぜかといえば、先生が生徒を教えるのは当然で、地域の人々もみんなで子供を育てるという意識が大切。先生以外の人が教えるのは、子供たちにとっても刺激になり、そうした教育をするにはコーディネーター的な人が必要になるので、ゴールとしては関東地方のESD拠点なども含めて、コーディネーター育成のような事が必要。
もう一点としては、多様性を理解させる教育が、日本では進んでいる。例えば外国人労働者をどのように日本で生活させていくかというような話が多い。来るのは当たり前で、我々元々住んでいる人が、外国から来る方、もしくは多様性を持った方々を、どう理解しなくてはいけないか、逆の発想。それを子供たちに伝えていかなくてはいけない。子供の方が身近に、色々な多様性を持つ人と生活していて、むしろ大人の方が同族だったり、同じ人々と接しているだけであって、子供のほうが敏感に感じて取って学べるので、そうした形でソーシャルインクルージョンの世の中を作る意識を大人が持つことで、子供たちの教育がより良いものになっていくと思う。

 

〇分科会4:各主体を繋いで取組む、気候変動対策

【取り組みを進める上でのキモ】
・(相手・地域・時代)のニーズが大切
・お金より「人」(つながりと信頼)
・「三方よし」で続けること

【ファシリテーターからの分科会報告】
高橋朝美(関東地方環境パートナーシップオフィス)

最初の質問タイムでかなりキモが見えてきたが、アースライフネットワークの活動によって、どういう人がどういう良い事があったのかを掘り下げた。誰がという時に、子供・学校・企業・行政辺りは誰でも思いつくが、メディアや親という声があった。メディアは地元の良いニュースを流すことができるし、親に対しては子供を通じて意識を変えることができる。「0から1につながるポイントは何なのか」や「ステークホルダー同士が、どうやって役割分担ができるのか」という質問があり、それを整理する中で出てきたのだが、キモとしては「相手・地域・社会のニーズが大事」。たくさんのステークホルダーが出てきたが「お金より人」という事で人との信頼が重要だという事になった。「三方良し」が三つ目のキモとして出た。このグループでは、SDGsの目標と紐づけたが、メディアや親につながるのは、SDGsの12.8(目標12:持続可能な消費と生産のパターンを確保する、12.8:2030年までに、あらゆる場所の人々が持続可能な開発および自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする)に結び付くのではないか。そして「みんな良い事をして褒められたい」という意見が出て、その次のステップに行けるのではないか。例えば、行政が市民に心を開いて施策を作ったり、企業がもっと地域のための投資をしようなど、小さな一歩が12.8。また9.1(目標9:レジリエントなインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る。9.1:質が高く信頼できる持続可能かつレジリエントな地域・越境インフラなどのインフラを開発し、すべての人々の安価なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援する。)に紐づいていく、という事を共有した。

【事例紹介者からのコメント】
服部乃利子氏(静岡県地球温暖化防止活動推進センターゼネラルマネジャー)<地域ESD拠点>

最初に、誰がどんな良いことがあるかを出してもらう時に、家庭・自治体・地域・メディア・学校・自然などあったが、嬉しかったのは、“聞いていた我々”というのがあった。今回は普段、温暖化対策に関わる人でない人に、我々のプログラムを分析してもらった。この体験は私も初めて。色々アイデアや、SDGsのこんなところが結び付けられていない、という気付きを沢山頂けた。これは私たちが地域ESD拠点としてやっていけるポイントだと思った。同じ地域や、同じ取り組みでない人によるプログラムの分析、これは“聞いていた我々”ではなく、私が一番得をして帰れると思っている。頂いたものを、スタッフ会議で改めて評価をしつつ、拠点として私たちが出来ることの一つに加えられたら、という大きな気付きを頂ける分科会となった。
 
 

全体ディスカッション

当センターの高田企画運営委員長の進行により、事例発表者とのディスカッションを行った。

高田委員長:
 一つ出てきたのはコーディネーターの問題。実はかつてESDが始まったときに、コーディネーターは重要であると、最初から言われていた。どういう風にコーディネーターを養成するべきか、という研究会もあったが、実現はしなかった。そんなことをしなくても、優秀な皆さんが色々な活動をしている。全員に聞くと時間がないので、まずどうやってコーディネーターを育てているか伺ってみたい。
 
鈴木氏:
 ジオパークは範囲も広くて、ステークホルダーも多様で、やることもバラバラ。その中で、どういうコーディネーターを育てたら良いかスタートしているが、SDGsは遠くに見えている目標でもあるので、皆好きな事をやっているが、何となくそこへ向かっていけるような、コーディネートができる人を、どうやって作っていったら良いのでしょうね。
 
松井氏:
多摩大学でもその話が出ており、ジェロントロジーの100年人生の中で、これからはモザイク型就労のような形で、一人が一つの仕事に就かないような社会になっていくと言われており、定年も生涯現役であると、学長の寺島実郎が話している。まずは、今所属しているところに居ながらも、外と繋がりを持ちたい人に、ESD拠点のようなところに関わってもらい、コーディネーターとして一緒に学んでいけるようになると良いと思う。つまり、ずっとその仕事をしない、というように変わっていくのではないかと思う。
 
高田委員長:
食品ロスのところで、「心がないと」という部分でとても共感した。大変なことをやっていると思うが、そのエネルギーはどこにあるのか。
 
大野氏:
フードバンクは、ほぼボランティアの方に支えてもらっている組織。活動をする中で辛い場面はあるが、「やっている感」というか、「ありがとう」と言ってもらえるなど形になりやすいのが魅力なのではないか。代表として、一人一人に意識して感謝の気持ちを伝えるようにしている。コーディネーターの話にもつながるが、私自身がNPOセンターにいて、色々と繋がりがあるから出来ているが、フードバンクに参加している人も見えないコーディネーターというか関係性があって、例えば元職場の同僚にフードドライブをやってみたとか、活かしきれていないコーディネーションができる可能性があり、そこは掘り下げられるように思える。
 
高田委員長:
次の質問。繋がりがなければ話にならない。いかにニーズを掘り起こしていくか、どう繋がっていくか、そのコツをお聞きしたい。
 
服部氏:
まずは嘘をつかない事。メリットとデメリットを、きちっとお見せする事を心がけている。成果をどう見せるかも大きいが、寄付を頂いた時も、そのお金がどう使われたか見える化している。報告書だけでなく、巻き込んでそこに来ていただいて、参加して頂く仕組みにしている。学校で終了証を出すときに、企業の方に来ていただいて、子供に「ありがとう」と言われたり、一緒に給食を食べたりすると、次の年も寄付を頂ける。使われたお金は報告書を読んでも手応え感とかは伝わらないので、実感を味わって頂く。学校の芝生化も、一緒に作業して頂く。お金がこういう様に使われているという確実さが信頼につながっていると思う。それとこの仕事は、やはり面白い。この面白さは伝播していくと思う。
 
高田委員長
私も若いころ教員をやっていたが、学校でも「取り残さない」はずいぶんと言われていた。当時は、学力の意味として使っていたと思うが、今日お聞きした話では、学力だけでなくどうした意味で、取りこぼさないとしているのか。
 
松井氏:
学力は、その人の人間力からするとほんの僅か。学力より大事なものを、皆さん知っている。何が問題かというと「学校教育で学んだ事が社会で通じないじゃないか」と言われるが、ではなぜその教育をしないのか? そこが、「誰一人取り残さない」点。学力だけだと、どうしても取り残される子が出てきてしまう。2030年はまだ良いとして、その先の2040年、2050年、今の子供たちが4、50代ぐらいになった時、自分は死んでいるから良いではない。もう後ろにツケを回すのは、日本社会は限界に来ているので、学力でない力はリテラシーやコンピテンシーもあるが、やはり「教養」が重要で、かつ、地域の方々の経験値のような「生活の知恵」が人間力につながる。こうした力は生きていく上で凄く学びに活かされているので、それを使って実践している。
 
高田委員長:
今日はありがとうございました。午前中に地域ESD拠点の方が集まり、会合を開いた。この制度の開始当初、「拠点が活動するためのお金はありません」という事でどうやっていくのかと思ったら、関東では14の拠点ができて、それぞれの活動が面白い。元音楽関係のお仕事をされてきた方が、ESDに関わっていて、全然違う視点から、面白くやらないと、とやっている。地域ESD拠点という一つのシステムを使って、お金はないが、色々なところから調達してきて、事業化して自分たちの生計も成り立たせていくし、地域のESDも成長していくという話を聞かされて、びっくりした。金のつながりは、金の切れ目は縁の切れ目になるが、この金のない取り組みを提案した環境省の素晴らしさ。補助金がなくなると苦しむのだから、いかに自分で金を稼ぎながら、活動を持続させていくか、今日改めて感じた。
今日は最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。皆さん仲間ですので、ホームページ等を通じたりして、皆さんで情報交換しながら、楽しい取り組みを続けていきたいと思う。今日はありがとうございました。
 
 
まとめ:伊藤博隆(関東地方ESD活動支援センター)

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