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2019.07.04 SDGs関連 ユース向け レポート 

【取材レポート】課題発見DAY@東京日本橋タワー

イベント名 課題発見DAY@東京日本橋タワー
開催日 令和元年6月30日(日)12:30〜18:40
場所 東京日本橋タワー(東京都中央区日本橋
主催 学生団体SustainableGame
共催 TENSAI BANK
属性 SDGs、ユース

 
 
◆背景
今回のイベントを主催するのは「学生団体SustainableGame」で、その代表を務める山口由人さんは中学3年生だ。山口さんは中学1年の時にSDGsのワークショップに参加し、SDGsというツールを使うことで自分の中の世界観が広がる楽しさに気づいた。その楽しさを1人でも多くの同じ中高生に伝えたいという思いのもと様々な活動をしている中、中高生が何かSDGsを達成するためにアクションを起こしたいと思った時に、技術面や社会との繋がりが壁となりチャレンジを諦めている人がたくさんいると考えた。そこで、facebookでSDGsについて一緒に活動する仲間を募ったところ、高校生を中心に6名が賛同し、学生団体SustainableGameを立ち上げた。今回が初めての大きなイベントである。開催にあたっては、山口さんの周囲にいる大人たちも、企業の会議室を提供してくれたり、運営のアドバイスなどをサポートするなどして、短期間のうちに今回のイベントを開催するに至った。
 
 
◆内容
今回のイベントの開催趣旨は、下記の通り。
 

中高生がSDGsActionを実現するためのイベント!!
Be a social tackler.
あなたもSDGs達成のために本気で突っ込んでいく中高生になりませんか?
日本橋周辺での社会課題を見つけるフィールドワークを行い、見つけた社会課題の解決方法を大学生とともに考え、イベントだけで終わらせずアイデアを中高生クリエイターと共に実現していきます。
 
特典①
学校やワークショップでは何かを起こしたいと思っても学校内だけでプロジェクトが終わってしまう場合が多いです。しかしながら、このイベントではイベントだけで終わらせず中高生クリエイターと共にプロジェクトを持続的にカタチにすることができます。
特典②
様々な大学生や企業の方と共に自分の意見や考えを共有することができます。
特典③
SDGsを自分ごとにして課題を解決していくスキルを身に付けることができます!

 
参加したのは、主にfacebookで今回のイベントをみつけた中高生、約30名。当然のことながら、SDGsについては何らかの知識を持っており、学校でSDGsについて学んでいる生徒も多数いた。5つのグループに分かれ自己紹介を行ったが、上下関係を作らずフラットな議論を行うため、年齢や学年は伏せて実施した。
 

↑iPadで作った17のマスがあるSDGsルーレットで、各グループが何についてディスカッションするか、テーマ決めを行った。各グループ2個のテーマが与えられた。
 

↑SDGsの課題を考えるため、会場の外へ出て先ほど与えられたテーマに沿って、課題を発見するためにグループ毎でフィールドワークを行った。
 

↑会場に戻り、与えられたテーマに沿ってSDGsの課題解決につながるアクションや提案を考えた。SustainableGameの高校生メンバーが、ファシリテーターとして議論を調整した。グループで話し合った結果は、その場でパワーポイントにまとめた。
 

↑再び全体会場に戻り、5つのグループで話し合った結果を、先ほどまとめたパワーポイントで発表した。3分の発表時間で必ず全員が発表する、というルールだ。与えられた二つのテーマについて、日本橋のデパートや街を歩いて得たヒントから、課題を見つけ、どうやったら解決につながるのか、社会へ向けた提言という形になっている。最後に、今回のイベントを陰で支えた大人たちから、講評と応援のメッセージが送られた。
 

↑全員で記念写真。今回、関わっていた大人たちも、組織だった形というよりは、真剣に活動に取り組もうという若者に対して、個人的な立場で応援している。
 
 
◆今後の展望
「学生団体SustainableGame」の運営方針は明確で、「SDGsアクションを起こそうとしている中高生を支援する!」というものだ。アクションを起こす方法としては、「人を知り、世界を知る」→「SDGsを知る」→「SDGsについて考える」→「SDGsアクションを起こす」というフローを描いている。
 

またこれからの流れとして、SDGsの具体的なアクションを進めるために、企業と連携したり、ユースの取り組みを表現する方法として、同世代のクリエーターと連携して、SDGsアクションを展開していくことを考えている。
 
 
◆まとめ
 今回のイベントは、中学3年生の男の子が、誰に言われるでもなく自らの意思で、周囲の大人を巻き込み、SNSを駆使して仲間を募り実施したものだ。しかし生まれて初めて主催した大規模イベントとは思えないほど、中身が充実していた。山口さんのfacebookの呼びかけに素早く反応し、学生団体SustainableGameに賛同したメンバー、また今回のイベントを知り参加した中高生たち。みんなSDGsが何かを理解し「何とかしたい」という熱い気持ちを持った若者が、こんなに大勢いることに驚かされた。また彼らは、物心ついた頃にはスマホや高速インターネットが身近にあるZ世代と呼ばれるデジタルネイティブだが、SNSやPCをごく自然に使いこなす様子も今の時代を象徴している。
 SDGsの掲げる目標は、その高い目標故に実現するのが難しいものも多く、達成できなくてもペナルティはない。よって大人の世界では、達成できなくてもそれは仕方ないだろうと、と感じている人も少なくない。しかし、SDGsの正式な名称は、「我々の世界を変革する(Transforming our world):持続可能な開発のための2030アジェンダ(the 2030 Agenda for SustainableDevelopment )」であり、現状の延長線を維持するのではなく、様々なものを大幅に変革しなければ未来はない、というものだ。経済合理性や利益の追求だけでなく、真に環境・社会・経済のバランスがとれた社会の実現を目指す必要がある。SDGsの本質を考えるのであれば、少なくともSDGsのカラーホイールのバッヂを胸につけている人は、SDGsの達成に寄与することが求められる。
 年齢層の高い会合でSDGsの話をすると「俺はもう死んでいるだろうから興味ないな」という声も耳にする。しかし若者にとっては、50年先の未来はSFの話ではなくリアルワールドであり、SDGsの目標年の先の世界も含め当事者性が高く、まさに“自分事”として真剣に考える対象である。今の社会を動かす現役世代は、こうした若者のメッセージに耳を傾け、世代を超えてSDGsの目標達成に向けて努力しなければならないと感じた。
 
 

◆関連リンク:
Sustainable Game
Sustainable Game フェイスブックページ

 

取材:伊藤博隆(関東地方ESD活動支援センター)

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