【概要】
各地域でSDGsを実践していくための取り組みが開催されているが、SDGsに関して、内容まで正確に把握している人は、まだまだ少ないのが現状ではないだろうか。そこで、地域ESD拠点である一般社団法人きりゅう市民活動推進ネットワークでは、SDGs講演会SDGs・ESD活動を知ろう～ユースとつくる持続可能なまちづくり～を開催。会場の桐生市民会館には、市内を中心に高崎などからも参加者が集い、中学生からシニアの方までおよそ50名程が参加し、地域でSDGsをどのように推進するのかが考えられた。

【実施内容】

今回の講師は、桐蔭横浜大学　教育研究開発機構　専任講師の松井晋作氏を講師に招き、SDGsとESDに関する講演が行われ、理解を深めるためのグループワークも実施した。コロナ禍での対面のワークショップと言う事で、検温・消毒・換気の上、参加者は常に全員マスク着用をするなど、感染症対策の上で開催された。内容は以下の通り。

■第一部

「ESDの概念理解とSDGsの課題」と題して、ESDの出来た経緯や、SDGsが「人間活動を見直し、社会の変革を目指すこと」のために制定された事など、基本的な講義の後で、「ESDやSDGsをどのように理解したか？」「日本ではSDGsの課題を克服するために何をするべきか？」と言うテーマでグループワークを実施。

■第二部

SDGsの日本の達成状況の説明があり、日本は世界の先進国中でも達成度が低く、特に、
5.ジェンダー平等を実現しよう
12.つくる責任つかう責任
14.海の豊かさを守ろう
15.緑の豊かさも守ろう
17.パートナーシップで目標を達成しよう
の達成度が他国に比べ低いことに触れた。その上で、「地域の実情はどうだろう？」という事で、「桐生の強みと弱みを考えよう」というテーマでグループワークを実施したところ、以下のような意見が出た。（参加者から発表のあった内容を抜粋）
○良い点
・自然が豊か
・災害が少ない
・鉄道がたくさん来ている
○弱い点
・少子高齢
・道路が貧弱
・交通の便が悪い
・ネットの普及が低い
・イノシシや熊の問題
出てきた意見で注目すべきは、年齢層の高い人は、鉄道が４本来ている事を良い点にあげる一方、高校生は「交通の便が悪い」を挙げている。車の免許取得年齢に達しない高校生は公共交通への依存度が高いが、大人は鉄道を利用するにも車で駅まで行くなど、高校生とは利用環境が異なる。地域モビリティに対する認識が真逆になったケースであるが、多世代でやるグループワークだからこそ出てきた意見ではないだろうか。

■第三部

ESDによって育てたい生徒像と資質（キーコンピテンシー）
・社会的に異質な集団での交流
・自律的に活動すること
・道具を相互作用的に用いる
などの点についての話があり、「ユースの学びの支援に何が出来るか」というテーマで、グループワークを実施した。
ワークショップで出てきた意見は下記の通り。
・米作りを小中学生とやる
・生徒会が外部の人と繋がる機会を作り、世代を超えた意見交換をする
・子ども会のような活動があると良い。ただ大人の押し付けの企画ではなく、子供たちの発意から
・社会に開かれた教育が必要(高校校長)
・学生が知る機会を増やしたい
・学校と地域が繋がる、地域の問題を早い段階から取り組む必要がある
・交流のメニューをどんどん提供する
・群馬大学の留学生と繋がる
・異なった人を繋ぐナビゲーターが居ると良い。

開催された時期は、コロナの影響もやや落ち着いた時期であり、多くの人にとって久しぶりの対面でのワークショップとなった。
参加した高校生に感想を求めると「久々の外との集まりで色々と学びになった。自分に何が出来るか考えて実践したいと思う。」と話していた。
SDGsを地域で推進するに辺り、地域の多くの方が対等に話あう、このような場が必要だろう。その際には、考えが偏らないように、多世代型で実施する事は極めて重要だと思った。

（スタッフ：伊藤博隆）