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2024.03.07 SDGs関連 センター事業 レポート 

<開催報告>ESD for 2030学び合いプロジェクト「気候変動に適応した実践型防災教育」佐倉市立根郷小学校 気候変動に関するESD出前授業

 関東地方ESD活動支援センターでは、令和4年度より「ESD学び合いプロジェクト」として、「気候変動による影響と対策に関する、学びと実践」をテーマに、プログラムを実施しています。今回は千葉県の佐倉市立根郷小学校にご協力をいただき、6年生を対象に気候変動に関するESD出前授業を実施しました。佐倉市は、令和元年秋の豪雨により市内各所での浸水被害を受け、市の第5次総合計画中期基本計画でも重点施策として気候変動への対応を掲げています。今回はモデル授業として専門家によるレクチャーを実施し、佐倉市及びESDfor2030学びあいプロジェクトの関係者が参観しました。

 

【実施概要】

日時 令和6年2月1日(木)10:30~12:10(3・4校時)
場所 佐倉市立根郷小学校 体育館
対象学年 6学年2学級
実施内容 気候変動に適応した実践型防災教育


これまでの本プロジェクトの取組み

 

 

 【プログラム】

 

導入:気候変動と佐倉市(関東地方ESD活動支援センター)

令和元年に佐倉市で発生した浸水状況の写真と、平常時の写真を比較して、何故このような水害が発生するのか「原因」=気候変動、昔の地形と、「対策」=ハザードマップ、避難所について学習し、「何ができるか、みんなで考える」という、本プログラムの流れの説明を行った。
導入・全体進行用資料(PDF:1.67MB)

 

原因を知る:気候変動(気象庁銚子地方気象台)

佐倉市には気象庁のアメダスの観測施設があり、銚子気象台と交流があることから、気候変動についてのお話をしていただきました。

発表資料(PDF:953KB)

 

<発表要旨>
気候の変化
・年間の平均気温は、年々上がっています。
・年間の降水量は、多少の変化はありますが、大きな変化は見られません。
・1時間降水量50㎜以上(短い時間に降る大雨)の大雨の回数は増えています。
昔に比べ雨の降り方が変わってきている

気温が上がると空気中に含まれる水蒸気の量が増える。左側の竹づつは現在の状態として考え、右の竹づつは地球温暖化が進んだ場合と考えてください。竹づつの違いは、長さが同じですが太さが太くなっています。ともに左右の竹づつに同じの量の水を入れるとどうなるでしょうか。

右側の竹づつは太くなりましたので、かたむいた時に1回にこぼれる水の量がより増えます。 →大雨の増加
右側の竹づつは太くなりましたので、かたむくまでにより時間がかかります。 →雨の降る日が少なくなる

地球温暖化とは
地球温暖化とは、二酸化炭素などが増えていることにより、地球規模(きぼ)で気温や海水温が上がっている現象。私たちの⽇常⽣活や企業の活動から多くの⼆酸化炭素が出ている。今後、⼆酸化炭素を出すことを少なくする対策をしなければ、今よりもっと気温が上昇する予測となっている。
私たち⼀⼈⼀⼈が⽇常⽣活の中で、少しでも⼆酸化炭素を減らすためにできること(省エネなど)を、友達や家族と⼀緒に考えてみよう︕

お話を聞いた後、グループで印象に残ったこと、大事だと思ったこと、分からなかったことなどを共有しました。

 

生徒の感想
・気候変動の話をもっと聞きたかったです。
・竹のモデルがすごくわかりやすかったです。生活が便利になるほど二酸化炭素を出してしまうのはだめだなと思いました。
・今回の授業では、環境についてたくさんのことがわかりました。私は気候変動の二酸化炭素が増えて気温など上がってきていることについて気になりました。地球温暖化が進んでいかないように電気を使いすぎたりしないよう省エネをしていきたいと思います!

 

原因を知る:昔の地形「⼤昔の印旛沼?」(佐倉市教育委員会 文化課 文化財班)


発表資料(PDF:2MB)

大昔の印旛沼の地形と人々の暮らしとの関りについてお話し、今の印旛沼の成り立ちについてお話しします。
<発表要旨>
縄文時代
狩猟・採集・漁労をしながら1万年続いた時代(約1万2千年から2千3百年前)。暮らしやすい場所にムラを作った。
体育館の下には巨⼤な縄文時代の家の跡がある

この体育館は建て替えをしていて、その時に縄文時代の15mぐらいの大きな家の遺構が見つかった。(会場でメジャーを広げ、15mの大きさを体感)

縄文時代の印旛湾
6000年前の千葉県の様子。その頃は暖かく、海水面が今よりも高く、千葉県の奥のほうまで海水が入り込んでいた。今の印旛沼のあたりは、印旛湾という海の一部になっていた。全国約2500か所の⾙塚のうち、約650か所が千葉県にある︕根郷小の近くでも⾙塚や⼟器が見つかっている。

根郷⼩付近の地形
根郷⼩は大地の上にあり、湧水があり、暮らしやすいところ

平安時代の印旛浦
気温が下がってきて海が後退していくと、佐倉市周辺の海は汽水域が広がってきて、印旛浦と呼ばれるようになった。

江⼾時代の利根川東遷
江戸湾に流れていた利根川が度々氾濫するため、江⼾時代に60年の歳⽉をかけて流れの向きを変えて、銚子に流れるようにした。江戸の被害は減ったが、印旛沼周辺は⼤⾬で洪⽔が発⽣、周辺に⽔があふれ甚⼤な被害が出るようになった。

江⼾時代の利根川東遷
印旛沼の整備と⼲拓が行われるようになった。今の形に整備されたのは55年前のこと。利根川東遷から約370年後。

 

 

お話を聞いた後、グループで意見を共有し、貝塚の出土品や土器の見学を行った。

 

生徒の感想
・昔の地形の所で、体育館の下に竪穴式住居のあとがあるのがびっくりしました。
・昔の地形の話で知らないことがたくさん出てきてとても面白かったです。
・千葉の昔の姿を初めて見たので、こんなにスカスカだったことは知りませんでした。
・人間だけで利根川の向きを変えたのが驚きました。

 

 

対策を知る:ハザードマップ(佐倉市 危機管理部 危機管理課 防災班)

発表資料(PDF:531KB)

令和元年度に起きた災害について湾
①令和元年 台⾵第15号(9/5に発⽣)
②令和元年 台⾵第19号(10/6に発⽣)
③令和元年 10⽉25⽇の⼤⾬
2か⽉間の間に3つの災害が連続して発⽣しました。
(根郷⼩の状況は・・・)
台⾵第19号の時に避難所として開設し、避難者の数は42世帯85⼈でした。

令和元年台⾵第19号について

ハザードマップの解説
ハザードマップを4人1組のテーブルで全員で確認。根郷小の位置、
佐倉市防災ハザードマップ

 

生徒の感想
・ハザードマップを見ながら説明してくれたのがとても分かりやすかったです。
・ハザードマップをあまり見たことがなかったから、初めて知ったことが多かったです。もし何かあった時、すぐにここに逃げられるように今回もらったハザードマップを活用したいと思いました。

 

対策を知る:避難所について「あんしんできる避難所」(流山防災まちづくりプロジェクト)


発表資料(PDF:935KB)

あんしんできる避難所とは
・避難所には、色々な人が来る(お年寄り、障がい者、妊婦さん、外国人、認知症など病気の人、ペット連れ・・・)
・支援や配慮が必要な人に、どう対応する︖

私たちが目指す避難所運営とは
「誰も取り残さない」避難所をつくっていくこと
自分とは違う誰かを思いやり、理解して行動ができるようになる。
多様な視点をもち、「自分ごと」と捉える意識を持ちながら進めていく。

中学生と一緒に行う避難所開設訓練
◎将来の地域防災の担い手を育成
~地域住民とともに地域を支える一員に~
・人権や命の大切さ、考える力、判断し行動する力を身に付ける
・地域のために役立つ力を持っていることを知り、地域への関心、愛着心が生まれる
・お互いを尊重し、認め合うことの大切さを知る

私たちは地域の防災リーダー
・災害時の「考える力」「判断し行動する力」「生き抜く力」を身につける
• 性別にとらわれず、一人ひとりが認め合い、チカラを活かしあう事が災害リスクの軽減につながることを理解する
• 将来どこにいても、地域の防災リーダーとして活躍できる人材の育成と、災害に強い地域づくりを目指す
~助けられる人から助ける人へ、地域を支える一員に~あなたは何ができる?

 

生徒の感想
・避難所では、みんな平等でいることが大切だなと思いました。
・避難所の安全さや大切さがわかりました。避難所の生活の大変さが分かりました。
・避難所では目や耳などの不自由な人も避難してくることが分かりました。なので、もし避難するときがあったら協力をしたいです。

 

何が出来るか、みんなで考える:グループワーク&振り返り

講義の後に振り返りの意味でグループワークを実施した。
テーマ1:「気候変動」は、どうやって防ぐ?または、対応する?
(テーマ2:避難が必要な時、みんなはどうする?)←時間がなく実施できず

 

 

ワークシートの記述、事後調査の自由回答より

  • とってもわかりやすくてためになる授業でした。こういう機会はあまりないので今日できて本当によかったです。またやりたいです!!
  • すごくわかりやすかったです。佐倉市の色んなことが知れてためになる授業だなと思いました。
  • 少しわかりづらい所があったけど、知らないことが知れて楽しかったです。
  • 説明が分かりやすくて、特に気候変動や、昔の海と、現在の地形がよくわかりました。地球温暖化など、詳しく知れて嬉しかったです。
  • お忙しい中私たちのために根郷小学校特別授業をしてくださりありがとうございました。グループで話し合うことでグループのみんながわけをいっぱい言って私も意見をたくさん出せるように頑張ります。
  • 今回の特別授業で地球温暖化の影響や佐倉市の昔の地形、みんなで協力しあえる避難所など、いろんなことを学びました。これから、生活するときは今回学んだことを生かしていきたいと思いました。
  • 今回の特別授業で、知らなかったこと、私たちの人生に大きく関わることをたくさん学びました。今回学んだことは頭に入れて、いざとなったらその学んだ知識を使います。

 

 

関係者による振り返り


佐倉市は、令和元年秋の豪雨により市内各所での浸水被害を受け、第5次佐倉市総合計画中期基本計画(素案)でも重点施策として気候変動への対応を掲げていることから、佐倉市役所からも企画政策部、気候変動対策準備室、教育部の方にご参加頂いた。また学びあいプロジェクトのメンバーにもご参加いただき、授業終了後に関係者の振り返りを行いました。

 

関係者アンケートの回答:授業のよかったところ、インパクトがあったところ

  • 主要テーマである持続可能な開発や気候変動にとどまらず、地域の歴史的背景や災害状況に広げたことで、子どもたちが身近なテーマとして捉えられた。【県・市関係者】
  • プログラムの構成として、導入から、気候変動、昔の地形、防災と流れ、それぞれ関連していることがわかり、子供たちも気候変動について考えるきっかけとなったと思う。【県・市関係者】
  • 地域に密着した内容で、生徒さん達も身近に感じることができたと思う。少々難しい内容だったにもかかわらず、ワークでは真剣にディスカッションしていたのが印象的だった。また、普段とは違って先生ではなく、専門家の方々からの授業だったので貴重な経験として感じられたのではないかと思った。【関東ESD 関係者】

 

関係者アンケートの回答:授業の改善点等

  • 内容と時間の検討が必要と感じた。テーマをしぼる、あるいは時間延長だけではなく、対象学年や理解してもらいたい点、理解レベルを絞り、プランニングできればと感じた。【県・市関係者】
  • 今回は時間の都合でやむを得ない部分だと思うが、GW で各班で出てきた話を全体でも共有(+講師からフィードバック)できると生徒の気づきも増えたのではと感じた。【県・市関係者】
  • 今回のリソースを活用して、先生方が授業をするとしたら、2 倍以上の時間数がかかると思うので実施する学校の工夫が必要かと思った。【関東ESD 関係者】
  • 日にちをあけて2 回に分けて実施出来るといいかと思った。内容はとても厳選されていたが、落とし込む時間が必要かと思った。【関東ESD 関係者】

 

関係者アンケートの回答:今後の発展性

  • 今回のプログラムを6年生、5年生を対象に時間を多めにとり、気候変動適応について理解してもらい、中学生を対象に、気候変動の課題に対して、グループで年間を通して自分たちで考えた課題解決にむけた活動を、地域ぐるみで実施していくのがよいと思った。【県・市関係者】
  • 災害発生間もない時期でもあり、関連知識を有していたことに加え、反応や関心が高いと感じた。災害の記憶を風化させないための周知活動と併せて展開することで、おおきな効果が期待できると感じた。【県・市関係者】
  • 時間さえ確保できれば、今回の内容でも6 年生であれば十分理解できるのではと思った。生徒間でディスカッションする時間をもう少し増やし、自ら考える時間も必要かと思った。【関東ESD 関係者】

 

 

 【お問合せ】

関東地方ESD活動支援センター 担当:伊藤、島田
東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B1F
TEL:03-6427-7975
kanto★kanto-esdcenter.jp(★を@に変化してお送りください)
http://kanto.esdcenter.jp

 

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