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2018.08.02 SDGs関連 イベント紹介 センター事業 レポート 

ESD勉強会「みんなで考える、高校向けSDGsプログラム」を開催しました

関東地方ESD活動支援センター“ESDユース応援企画”

日時 平成30年6月8日(金)18:30~20:30
場所 地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)
(東京都渋谷区神宮前5-53-70 国連大学ビル1F)
対象 高校関係者(教員、NPO等)、大学生、ユース、ユネスコスクール、ESDに関心のある方など
参加者 50名
主催等 主催:関東地方ESD活動支援センター
共催:AIESEC東京大学委員会

【企画趣旨】
これまでESDや環境教育は、小・中学校で実施される場合が多く、高校生を対象とした取組は少ないとされてきました。しかし、2015年に国連でSDGsが定められ、取り組むべき世界の課題が明確化されてきた頃から、高校でのESDへの関心が高まってきました。
本来高校生の頃は、将来の職業や、そのための進路などについて考える時期です。この多感な時期にSDGsと出会うことは、社会課題解決を担う人材育成にも直結します。高校でどのような取り組みをすることで、より効果的な内容になるか、参加者みんなで考えました。
 

【プログラム】

■趣旨説明(関東地方ESD活動支援センター:島田)
私達の開催したイベントでユースの皆さんと出会い、2030年の主役であるユースの皆さんと共催で勉強会を開催することとした。SDGsの全てのゴールに通じるのが、「4:教育」。今回は、AIESECさんが企画している出前授業を体験して頂いて、高校でのESDの取組について考えていきたい。
■開会挨拶(AIESEC東京大学委員会:福田さん)
今年度から高校向けの出前授業をはじめた。今日は皆さんに高校生になって頂いたつもりで出前授業を受けて頂き、最後に感想を頂きたいと思います。


■高校向け出前授業体験(45分)プログラム名:誰かのためが自分のために
進行(ファシリテーター):福田航己さん(AIESEC東京大学委員会)


導入

AIESECは海外の大学生を日本に呼んで、日本の会社でインターンをしたり、日本の学生が海外の企業へインターンへ行く事の支援をしている団体。
まず皆さん緊張していると思うので、「大事なものゲーム」をやります。身の回りのもので、無くなったら困るものを出してもらって、ランキングをつけます。まず個人で付箋に書いてください。
(各自作業)
ではグループの中で紹介しあって、何が大切か、話し合ってランキングを決めてください。

ある班の回答:命→森→水→食べ物→家族→寝る場所→スマホ
大事なものは人によって違う、そういうものが一体どれだけあるかというのがSDGs。17個あるけど、どれも無くなったら困るもの。国連加盟193カ国全ての国が「これが無くなったら困るよね」と同意したもので、2030年までに全てを達成しようと定めたゴール。

ワーク1

先ほどランキングしてもらった「それぞれの大事なもの」がSDGsのどれにあたるか、グループで考えてください。
(グループ作業)
みんなの大事なものが、何かに当てはまっていると思います。でも具体的にどんな活動をすれば良いのかイメージがつきにくいと思うので、実際に活動している大学生に来てもらっているので、話をしてもらいましょう。

活動している大学生のプレゼン-1(東京大学3年:門脇さん)

高校の時、何か成長したいと思い国際交流の活動などを行なっていた。AIESECで2年間活動して、ニューヨークにインターンへ行き、教育が興味があると思い、特に学童に関心を持った。部活や勉強以外の体験の機会が少ないので、日本の学童が、子どもたちの夢を育む場所になれば良いと思った。

ワーク2

今説明してもらった社会課題は、SDGsの何に関わっているでしょうか?
(17の何に当てはまるか挙手)
実際の社会課題に当てはめると、何か一つというようり、複数の課題に当てはまると思います。では、今のプレゼンで上げられた社会課題を、どうやって解決したら良いか、話し合って考えてみましょう。
(グループ討議)
では門脇さんが実際に、どのようなアクションをとったか説明してもらいましょう。

活動している大学生のプレゼン-2(東京大学3年:門脇さん)

この課題にとったアクションは、ニューヨークに行って様々な放課後のプログラムを見てきた事。バスケやギターなどに詳しい人が来て、教えていたり、博物館の探索プログラムなどもあった。これらはニューヨーク市が運営していて、そこにインターンに行って学び、これを日本に還元しようと動いた。日本に戻ってシンポジウムを開き、先進的な取組と課題を周知した。
話は脱線するが、こういう事をやろうと思ったきっかけについて。高校の時に苦しかったことは、勉強にしろ部活にしろ周りの「当たり前」が常に気になっていて、人と同じことをやってきた事。大学に入って「人と同じでは、自分の能力は発揮されないよ」というアドバイスと、「一歩踏み出す勇気」を持つことで、色々とやれることができた。今後は、教育課題を解決するような会社を立ち上げていきたい。

ワーク3

グループ内で今の話の感想などを、自由にシェアしてください。
(グループ作業)

ワーク4

今日のテーマは「誰かのためが自分のために」ですが門脇さんは、まさにそういう人。
話は突然変わりますが、テーマを設定して話し合ってみたいと思います。「あなたはメジャーリーグの日本人ピッチャーです。SDGsを使って、何ができるか」というのを考えてもらいたいと思います。
(グループ作業)
あるグループの回答:お金も発信力もあるので、SDGs17項目のどれでも良いので自分がコミットできるものを明言して、実行すれば影響力が大きいという話が出た。
福田さんコメント:まだSDGsの解決方法がピンと来ていないかもしれませんが、メジャーリーガーのように、自分のやりたい野球をやって、SDGsの達成に貢献できる。みんな今まで、社会課題は難しいと思っていたかも知れないけど、自分のやりたい事をやって、誰かの為に出来るというのは、とても良い事だと思います。

ワーク5

SDGsを使って、あなたは何がしたいですか? 門脇さんは教育でしたが、あなたは何がしたいですか? 何番の課題をどうやるか考えてみてください。
(個人作業→グループ内で共有)

まとめ

「みんなの大事なもの」を上げてもらい、それがSDGsの課題の何かに当てはまっている事を理解してもらいました。
しかし、具体的どうすれば良いか分からなそうなので、門脇さんや野球選手の話をしてもらいました。
最後にみんなに考えてもらったのは、SDGsを使ってあなたは何をしたいですか?という事。SDGsは難しいかもしれないけれど、自分のやりたい事をやって解決していけたら、そんな人たちで社会があふれていたら、良い社会になるのではないか、と思っています。この授業のテーマ「誰かのためが自分のために」の意味が、少しでも分かって頂けたら嬉しいと思います。ありがとうございました。

 

■出前授業の解説(AIESEC東京大学委員会:福田さん)

このような形で出張授業をしているが、授業の意図としては、高校生にSDGsをどのように教えるかというと、下記の3つ。
〇SDGsに関する基本的な知識事項
〇SDGsの特徴(相互連関、みんなで取り組む)
〇SDGsを自分事として考える
その中で、大学生の自分たちが出来る一番の意味は、敷居の高いものを自分事として考えられるようにする事。ボランティアなどの実体験をすることが大事だと思うが、そもそも関心のない子は踏み出せないので、ロールモデルを通じた疑似体験で、これが出前授業の最大の特徴。先生がSDGsの体験を話す事は難しい場合もあり、年齢が離れていれば遠い話に聞こえてしまうが、年の近い大学生が、義務感ではなく楽しいと思って実践していることを伝えることが、「やりたい」「出来る」を高校生に与えることが出来ると考えて実施した。
 

■グループディスカッション(関東地方ESD活動支援センター:伊藤)

AIESECによる高校の模擬授業を受けて頂いたが、まだまだ発展途上のプログラムということで、今日の授業の感想をシェアしていただきたい。
(個人作業:付箋に「いいね!」「課題」「提案」を記入→グループでシェア)

全体をまとめて頂いた中で、「提案」を各グループ2つ発表して頂きたい。複数の意見があると思うので、何がキーになるかまとめて。
 
ワークショップで出てきた提案・感想(抜粋)
・高校2年生:女性
 この授業の目標が不明確で、グループワークで考えて下さいと言われても、答えるのは難しいと思った。
・高校2年生:男性
 うちの高校でもSDGsを知っている子は殆どいない状態。まずはSDGsを知ってもらって、興味を持ってもらうというプロセスが大事。色々な手段を使って情報を発信する。
・中高一貫校の英語教員
興味ある事であれば心動かす可能性があっても、そうでないものを一方的に聞いても、自分が授業するのとあまり変わらないと思う。ロールモデルの人が5~6人いて興味あるテーマで話をきけるようにしたら良い。
 
厳しい意見も出たが、高校で行なうESDなどの取組みはまだ少なく、そこに彼らがチャレンジしようというのは凄いと思った。折角だったらもっとブラッシュアップして、伝わるような中身になったら良いという事で企画させてもらった。まず、こういう事にチャレンジするという事が、非常に大切なのではなかろうか(一同拍手)。
 

■ふりかえり

AIESEC東京大学委員会:福田さん
本日は貴重なご意見ありがとうございました。今回50分という制約の中で、モデル的に実施した。実際は前後の授業と接続するとか、各学校とも打合せをして、ワークの内容や授業の内容を考えていきたい。

AIESEC東京大学委員会:真保さん
最後に、私からの“想い”を伝えたいと思う。私がここに取り組みたいと思った理由は、私が高校生だった時、私にもきっかけがあった。高校に入った頃は、何も考えられない無思考な人間だった。受験の時も、主体的でなく母親に言われて塾に行くような人間だった。高校の時の英語の授業で「この世に無償のものはあるか」と質問をされて、「何で英語の授業でこんな話をするの? 英語の授業やってよ」と思った。その先生が教えてくれたのは、“思考していいんだよ”、“考えて良いんだよ”、“考える時間って大切なんだよ”ということで、私はその時、初めて「考える事って、良いのだ」 と思った。今の高校生にも、そういう子は多いと思い、そういう子たちに、将来について、自分について考える時間を与えたいな、と思った。そういうきっかけづくりをしたい、という思いでやっている。本日はありがとうございました。
(了)
 
【アイセック・ジャパン「高校出張事業」】
特定非営利活動法人アイセック・ジャパンでは、SDGsに関わる活動をしている団体に所属する大学生が登壇し、自分が大学生になってからどう変わったのか、なぜ変われたのかを話すことで高校生の進路の選択肢を広げることを目的とした授業を行っている。
詳細→ アイセック・ジャパン「高校出張事業」
 

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