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2019.09.02 SDGs関連 レポート 

【取材レポート】Worldʼs Largest Lesson

 海外インターンシッププログラムを中心に活動する、特定⾮営利活動法⼈アイセック・ジャパンでは、海外のアイセックのメンバーが集う機会を利用して、高校生を対象としたSDGsに関する学びの機会として、WLL(World’s Largest Lesson)を開催した。

 

タイトル World’s Largest Lesson
日時 令和元年8月20日(火)10:00~13:00
場所 国立オリンピック記念青少年総合センター 国際交流棟 レセプションホール
主催 特定⾮営利活動法⼈アイセック・ジャパン

 

【概要】
 「AIESEC」(アイセック)は、126の国と地域に支部を持つ世界最⼤級の学⽣団体で、主に海外インターンシップ事業等を運営する。アイセック・ジャパンは1962年に設⽴され、現在では国内25の⼤学に支部がある。今回は、「⽇の出」を意味する“Daybreak”という名称でアイセックが催す国際会議で、海外インターンシップ事業にとどまらず「若者のHUBとして若者の挑戦を⽀援していきたい」という想いで開催された。世界の多くの国々からアイセックのメンバーが集い、様々な学びの機会や交流が行われるが、今回取材したWLL(World Largest Lesson)は、「若者や子供たちに対してSDGsを教育し、社会についてのアクションを起こし、これからの社会を変えていく世代になっていくように促すこと」を目的に実施された。

 

【当日プログラム概要】

10:00 1. Opening ・AIESECとは?
・本日の流れについて
10:00 2. Keynote ・鈴木洋一氏による基調講演
・質疑応答
10:50 3. Theater Workshop ・アイスブレイク
・演劇による参加型ワークショップ
12:00 4. Future Dialogue ・導入
・大学生との対話による自己分析
・まとめ
13:00 終了

 
【プログラム実施内容】

1.Opening



 ユースのイベントらしく、音楽が鳴り軽快な印象でスタート。司会は、英語の進行が日本生まれのインドネシア人で、現在は中国の北京を拠点に活動しているオジャンさん。英語の通訳と日本語の進行は、特定非営利活動法人アイセック・ジャパンでDaybreak実行委員を務める東京大学法学部4年の笠場愛翔さんだ。
 参加者は日本の大学・高校生も多いが、海外からの参加者も多いことから、全体を通じて英語と日本語のバイリンガルで行われた。
 

■2.Keynote
「Can You(th) CHANGE World in the era of SDGs-SDGs時代における若者の可能性-」


Wake Up Japan 代表理事 鈴木洋一氏 

 鈴木洋一氏は学生時代にアイセックで活動しており、複数の国際協力団体の活動を経て、現在でも様々な活動に関わり、数多くの講演なども行っている。今回、鈴木氏からユースには、「あなたは社会を変えられると思いますか」という問いが投げかられた。SDGsは既存の社会の変容を求めるものであり、スウェーデンの高校生グレタ・トゥーンベリさんが行った「気候変動問題のための学校ストライキ」を例に取り上げ、ユースの力が世界に影響を与えられることを示した。そして、「対話と共感に基づいて、地域(日常)から社会で起こっている問題を広め、一人ひとりが社会を変えられるという認識を育み、働きかけを行うこと」などを通じて、社会変容を推し進めることができると投げかけた。

 
 

■3.Theater Workshop



 続いて演劇の手法を活用したワークショップが行われた。演じ手は海外からの参加者を主体としたアイセックのメンバーにより行われた。内容としては、宗教・文化の違いから衝突が発生した劇を最初に行い、2回目に同じ演目を行い、衝突が起こらいようにするには、どのように軌道修正を図れば良いかを、即興でシナリオを書き換える提案を参加者が行い、衝突を回避するというものだ。劇は複数行われたが、例えば工場で働くイスラム教徒の従業員が就業中にイスラムのお祈りをはじめ、工場の上司がそれを制止するというようなストーリーだ。
 なぜこうした文化的な違いによるトラブルが起きるのか、それをどうやって乗り越えられるか、そしてその衝突を回避するために、自分は何ができて何が出来なかったかったかを、大学生を交えて考えた。
 

■4.Future Dialogue



 これまでの基調講演やワークショップを通じて感じた事の振り返りとして、2~3人の大学生と一人の参加者で1グループを作り、「あなたにとって、社会の好きなこと、嫌いなことを見つける」というテーマでグループディスカッションが行われた。

 
 


 
 SDGsの17ターゲットを細かく学ぶというものではなく、宗教・文化・民族による差異を、それが原因として衝突を起こすのでは無く、豊かな多様性ある人々が共存するにはどのようなマインドが必要なのかを考える場になっていたと思う。自分と違う価値観を持つ人がいるという前提に立ってこそ、相手を理解する事ができる。例えばジェンダーを理解するにも、他文化を受け入れる事と同じではないだろうか。今夏以降、ユース主催のSDGs関連の複数のイベントに参加しているが、ユースの全体的な傾向として、SDGsを考える時に大切にされている視点としては、受容性や寛容性を重要な価値観と捉えているように思う。
 今回は、海外からアイセックにメンバーが集う場に、日本の高校生が参加する場であった。高校生にとっては、海外の同世代の人と、世界共通の課題について意見を交わす機会となり、インターネットでは無く国を超えて同世代の若者とリアルに意見を交わす場というのは、有意義な場であったに違いない。数名の高校生に話を聞いたところ、「学校では学べないことに触れたので良かった」、「英語をもっと勉強したいと思った」などの感想があり、高校生にとって、自分の将来を考える機会にとなり、良い刺激になったのではなかろうか。SDGsは、広く社会との関わりの中で展開されるものなので、ユース世代には学校だけでなく、このような様々な価値観に触れて欲しいと感じた。
 アイセックの大学生メンバーも数多く参加していたが、彼らにとっても、自分たちより少し若い高校生を受け入れるにあたって、様々な試行錯誤をし、指導的な役割を担うことで、彼らにとっても学びが深かったのではないだろうか。

まとめ:伊藤博隆(関東地方ESD活動支援センター)

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