~2030年、さらにその先の未来社会を、ユースとともに考える~
【開催概要】
タイトル | 関東ESD推進ネットワーク 第3回地域フォーラム 「SDGs・ESDでユースと創る未来」 |
日時 | 令和2年1月26日(日)13:00~16:30 |
場所 | 東京ウィメンズプラザ ホール・視聴覚室 (東京都渋谷区神宮前5丁目53-67) |
主催 | 関東地方ESD活動支援センター |
参加者 | 130名 |
【企画趣旨】
国連が2015年に定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」は、世界の諸課題に対して17の目標を設定し、2030年までに解決することを目指しています。昨今、教育の現場でもSDGsに注目し、課題解決型の学習(PBL)などの取り組みが増えてきました。今回の関東ESD推進ネットワーク地域フォーラムでは、関東地方の地域ESD拠点の活動を深掘りするとともに、そうした取り組みをどうやって全世代型に広げていくかを考える場にしたいと思います。
関東ESDセンターでは今年度、中高生がSDGsについて考える“SDGs文化祭”の開催に協力し、ユースが参加する機会を設けてきました。SDGsは、よりよい未来のための取り組みであり、ユース世代はまさに未来の担い手です。今後、SDGsを推進するには、ユースと一緒に作っていくプロセスが重要ではないでしょうか。今回のフォーラムではユース世代にも参加を呼びかけ、「ユースと創る未来」を皆さんで考えたいと企画しました。
※ご発表者の肩書などは、全て当時のものです。
【プログラム実施内容】
■開会挨拶
・環境省関東地方環境事務所 環境対策課 鈴木課長
■趣旨説明
〇関東地方ESD活動支援センター:島田幸子
発表資料(PDF:1.5M)
■事例紹介
4つの地域ESD拠点から、地域でSDGsを推進する実践事例を紹介していただきました。
発表資料(1~4)(PDF:3.7M)
〇事例紹介1:地域の歴史を学び、未来へとつなげる学び
山崎 陽氏 〔(一社)あがのがわ環境学舎〕 <地域ESD拠点・新潟>
発表概要:かつて公害の発生で苦しんだ地域が、それを克服し再生した経緯を学び、地域の未来を考える学習について。
〇事例紹介2:足元の地学から防災へ、多世代で学んで実践へ
北川 有紀氏 〔ほどがや市民活動センターアワーズ〕 <地域ESD拠点・神奈川>
発表概要:自分が住んでいる地域の地形や地学的な歴史を知ることは、市民の実践的な防災活動につながる。地域の若者と高齢者のつながりをつくり、土地を知る講座から実践を生み出していく試みについて。
〇事例紹介3:地域・分野を越えて社会的ケアをプロデュース
上岡 裕氏 〔NPO法人エコロジーオンライン〕 <地域ESD拠点・栃木>
発表概要:音楽による認知症ケアや、里山を守りながら高齢者や障がい者の居場所や働く場づくりなど、様々なSDGs課題を解決する仕組みについて。
〇事例紹介4:学校の内外で進める様々な学びの形
佐藤 駿介氏 〔晃華学園〕<地域ESD拠点・東京> 〔(一社)ESD TOKYO共同代表 〕
発表概要:学校内では、企業と連携したり映像制作を通じてESD/SDGs学習を推進し、さらに学校での学びの機会として、SDGs文化祭を開催した事例について。
■トークセッション 「ユースが考えるSDGs」
SDGs文化祭で、SDGsについて学び、何が出来るかを考えた中高生によるセッション。彼らが何を感じ、これからどのように生きていきたいのかを語って頂きました。
リンク→<開催報告>SDGs文化祭
〇ゲスト
玉岡柚子香さん (中学校 3年)
宮地杏奈さん (高等学校 2年)
山口由人さん (中学校 3年/SustainableGame代表)
〇コーディネーター
飯山 智史さん(東京大学医学部健康総合科学科/EMPOWER Project共同代表)
飯山:こんにちは。東京大学4年の飯山智史と申しまして、SDGsの目指す、誰一人取り残さない社会を目指して、EMPOWER Projectの共同代表をしている。SDGs文化祭の時には、中高生のメンターとして関わり、中高生の熱い思いと行動力と一緒に活動した。玉岡さんと宮地さんは、SDGs文化祭の第一回目から参加し、山口君はゲストとして当日参加したが、普段からSDGsの活動を様々に行っている。今回は、聞き手として参加させていただく。まず自己紹介と、SDGs文化祭に参加した理由を聞かせてほしい。
玉岡:中学3年生の玉岡柚子香です。私がSDGsを知ったのは小学校6年生時に、受験勉強をしていて色々な学校の受験問題にSDGsが出てきたのがきっかけ。沢山の学校の問題に出てくるので、きっと大事なものなのだろう、という印象があった。私が入学した中学校はSDGsの活動が凄く活発で、入ったときからSDGsがこういうものだと理解できるような環境で、興味を持ったのは必然的だったような気がする。
SDGs文化祭に参加したきっかけは、高校生になったらもっと忙しくなるだろうし、もっと色々な事をやってみたいと思うのならば、中学3年の夏休みに参加して、何か具体的な行動が取れたら良いと思って参加した。色々な人と関りたいと思ったのも、参加した理由の一つ。
宮地:高校2年生の宮地杏奈です。私がSDGs文化祭に参加した理由は、去年の7月までスウェーデンに留学していて、留学団体からメールが来て参加した。私がSDGsに興味を持ったのは、元々国際協力に興味があって、誰一人取り残さないという考えを知り、自分がやりたいと思っていた事に関連するので、SDGsに興味を持った。
山口:SustainableGame代表で中学3年の山口由人です。私は11年ドイツに住んでいて、小6の時にシリアから難民が来たり、テロとかが街中で起きていのを目の当たりにしてきて、そういった人たちを助けたいという思いがシンプルにあったが、恐怖などから何も出来ない自分がいた。日本に帰ってきた時に学校でSDGsを学んだ時に、これは世界を変えるきっかけになるのではないかと感じた。そしてSDGsのセミナーやイベントに何度も行っている間に、SDGsが色々な人とつなげてくれたりとか、自分の世界観を拡げてくれる楽しいツールだと感じた。このツールをもっと同世代に共有したいと思い、高校や英語塾で授業を行うなどSDGsを広める事業と同時に、社会起業家育成の教育を、色々な企業と連携して活動している。
飯山:皆さんユニークな経験をお持ちで、その経験をSDGsにつなげて、バイタリティに溢れていて凄いなと感じる。実際にどんなことをしているのか、SDGs文化祭でどんな学びがあったか聞かせて欲しい。
玉岡:私はSDGs文化祭を通して、受動喫煙問題に取り組み、今も活動している。受動喫煙は、喫煙している人の煙を通りがかりの人が吸ってしまう問題だが、私がそこに注目したのは日常の経験からで、煙が管理されていないのはどうなんだろうと思い取り組んだ。具体的には一般の方に向けたワークショップを開催したり、SDGs文化祭でも参加者に向けてワークショップを開催した。SDGs文化祭に参加して得たものは、参加している子たちが、みんな興味を持って来ているので、凄く刺激になった。一人一人は違う問題に取り組んでいて、思っている事も意見も違うのに、考え方が私が今まで考えてみたことがなかった事だったり、斬新なアイデアをもらった良い機会になったと思う。
宮地:私はSDGs文化祭で、帰国後感じていた食の壁をなくそうと、ベジタリアンのプロジェクトに取り組んだ。私が目指す社会は、ベジタリアンという選択肢がある社会で、SDGs文化祭で具体的にやったことは、NPO法人ベジプロジェクトジャパンでのインターンや、学生団体の立ち上げを今も行っている。ベジタリアンは皆さん馴染みがないと思うが、段々と人口が増えてきて、日本でも増えている。日本では理解が進んでおらず、隠れベジタリアンが多いことから行った。SDGs文化祭ではポスターセッションとワークショップを実施。特にワークショップはベジタリアンというライフスタイルを身近に感じてもらうためのワークショップを行った。SDGs文化祭で学んだ事は、私はそれまで特に活動とかしたことがなく、問題意識はあったけれど、どう始めて良いかが分からず、そのままにしていたが、小さな事でも良いから始めてみることが大切だという事を学んだ。そしてSDGsの17課題が全部繋がっていて、繋がっているからこそ難しさもあるが、それを解決していけたら誰一人取り残さない世界が作れるのではないかという事を、SDGs文化祭に参加して感じた。
山口:僕が今やっていることを簡単に説明すると、誰一人取り残さない世界を作るゲームのプレイヤーを増やす活動をしている。SDGsというと固い感じがするが、ゲームの要素と同じゲームフィケーションだと思っている。例えばゲームでいうゴールがあって、社会というルールがあって、SDGsというターゲットがあるので定量化でき、かつプレイヤーもいる。このある意味ゲームの世界の中で、僕たちが自発的に楽しく活動を起こしていけるかを考えながら、衣服や食、AIなどの20社と提携して、SDGs実現のためのプロジェクトを中高生だけで創っている。今まで380人の中高生に、これらの事を自発的に学べる「課題発見DAY」という教育プログラムを提供している。
飯山:SDGs文化祭に関わってすごく感じたのは、中高生が当事者として関わっている事が良いと思った。これはまさに国連が大事にしている考え方でもあるが、Nothing about us without us という「私たちのことを私たち抜きで決めないで」というもの。受動喫煙の問題にしても、玉岡さんのワークショップには喫煙者にも入ってもらって、一緒に世界を考えていくという、そういうアプローチがこの世界では大事だと思っている。これは障害の分野でも語られることだが、喫煙者の事を禁煙者が決めるというのは変なことで、かつ2030年の世界を考えていく中で、まさにユースが主役になってその後の世界を作っていくのに、ユース抜きで考えるのはおかしいのではないか、という視点がある。この子たちは自分たちが主役になる当事者という意識を持って取り組んでいるのが素晴らしいと思って、メンターとして関わっていた。
次の質問は、ユース世代がSDGsに取り組んでいくなかで、ユース世代に必要な事、言い換えれば強みや弱みを、どうやって乗り越えていくのが必要かを聞かせて欲しい。
玉岡:私が考えるユース世代の強みは、想像の柔軟さ。これが出来ないと固定概念で決めつけるのではなく、出来るかもしれないという道を探すことが出来る事が強みだと思う。またSDGsに関して意欲を持っている人が多いと感じていて、でもその裏にあるのは、意欲はあっても何をしたら良いか分からない、やりたい事があっても、どのようにして誰を頼りにしてやっていけば良いのか分からない、という事が壁になっていると感じる。それを解決するために必要なのは、ユース世代のコネクション。今回のSDGs文化祭のように、同じような興味を持つ子と意見交換をしたり、一緒にやる仲間を見つける機会を、私たちが自分で作っても良いが、それを大人が作ってくれたりとか、資金面でのバックアップをしてくれると、もっとユース世代の活動が盛んになっていくと考える。
宮地:ユース世代には、どれだけ“自分ごと”に出来るかが、必要だと思っている。私の学校はSDGsを教えてくれる学校ではないので、自分で動かないとSDGsを知ることができなくて、学校でもSDGsを知っている人が少ない。自分の活動をそうした友達に伝える事に抵抗があって、今日の事も友達にはあまり言っていないが、その子たちも知らないだけで、自分事にできたらSDGsに取り組みたいと思うようになるのではないか。ユース世代の強みは、拡散力があること。SDGsがユースの中でトレンドになれば、すぐに広まっていくと思う。弱みとしては、資金面だったり、勉強にも時間をとられるので、何でSDGsに取り組まないといけないのかが分からない、という点が弱み。SDGs文化祭みたいなものが、もっと増えれば良いと思う。
山口:ユースの弱点は、僕は一つしかないと思っていて、それは信用。中高生が得られる信用は学歴が殆どで、SDGsが出てきているので行動の質の定量化が出来るようになってきていると思う。例えば環境に配慮しているとか、社会に貢献しているとか、そういった活動が行動の質によって信用が得られるような、そういう社会になれば僕たちは無敵になると思うが、まだそういう社会にはなっていない。資金面やネットワークは、ユースは無敵だと思っている。
飯山:最後に、今日はユース世代も沢山来ているので、同世代や大人に向けて一言。
玉岡:今取り組んでいる受動喫煙以外にも関心のある社会問題はいくらでもあるし、それを一つ一つ深く見て、次の活動につなげていければ良いと思っている。今は普通の生活が出来ているが、その後の事は分からない。今の生活に満足しているだけだと、このままではダメだと思うので、大人は次の世代に責任を持つべきだと思うし、私たちとしても次の世代を担っていく責任を持つべきなのではないかと思う。
宮地:帰国後よく感じるが、日本は本当に恵まれていて、問題を考えなくても普通に幸せに生きていける国だと思っている。でも私はそれを寂しいと思っていて、何を自分の人生で大切にしたいのかを考えている人は、今の日本では少ないと思うが、それを考えて行動に移せたら、人生がもっと豊かになると思っている。もう一つ伝えたいのは、SDGsに取り組むのではなく、自分の活動がSDGsにつながると思う。小さな事でも問題意識を持ったら、兎も角一歩踏み出して、取り組んで欲しいと思う。
山口:前提として僕たちは、大人・子供・日本人などのように分離的な思考を持っていると思うが、そうではなくSDGsのビジョンは、全ての人が平等に地球市民という事を、僕たちに教えてくれているものだと思う。なので全員が、まずは地球人であるという意識を高めて行動するというシンプルなことなので、もしこの中でSDGsを広めたいと思ってアクションをしている人がいたら、まずは種を播くという作業を、どんどんしていって欲しいと思う。
飯山:大学生として同じユース世代として、これからも一緒に頑張っていきたいと思う。今日はありがとうございました。
~会場をホールから移動~
■分科会
▲第2分科会の様子(第1~3の分科会は同様のスタイル)
▲第4分科会の様子
全体会で発表して頂いた、4つのESD・SDGsを推進する事例をより深く理解するために、分科会に分かれてワークショップを行った。各分科会では、事例発表の内容に関する質疑応答を行い、「どのようしたらユースとともに取り組むことが出来るか?」(第4分科会のみ「どのようしたらユースが社会とともに取り組むことが出来るか」)という視点でKJ法によるワークショップを実施し、まとめシートに各グループで話し合った内容をまとめてもらった。アンケートの感想では、「ユースと大人が共通のテーブルで話す機会が持てて良い刺激になった」という声が、ユースと大人の両方から多数あった。
~分科会会場から再びホールへ移動~
■全体会
4つの分科会で実施された内容について、分科会でファシリテートを行った、関東地方ESD活動支援センター及び関東地方環境パートナーシップオフィスのスタッフより報告を行い、事例発表の講師の方にコメントを頂いた。
▲各分科会で出された意見をホワイトボードに貼りだした(クリックで詳細画像)
〇分科会1:地域の歴史を学び、未来へとつなげる学び
【ファシリテーターからの分科会報告】
高橋朝美(関東地方環境パートナーシップオフィス)
事例に関する感想とか補足の部分に関して、皆さんの紙芝居の事例ご覧になって、いいアイデアだなとか思われたかも知れないが、あれを作る前段の十年のプロセスがあった所がポイントなのだ、という共有から入りました。いきなり紙芝居を作ろうと思った訳ではなく、その地域の光と影の部分を丁寧に拾う取り組みが、実は十年超続いていたという背景の共有から始まった。十年前から計五百~六百回は、地域の人と対話をする場を重ねてきていて、そこには原因企業と呼ばれる人にも参加していただいて、地域の被害者・患者さんと呼ばれる方も時に参加していただいて、そうした対話と関係性の上で、ツールを選んでいるという共有があった。それを前提に地域の光の部分と影の部分を、どうやってユースの人たちとやっていくのか、未来を創っていくのかということに関して、素晴らしい意見が出た。とにかく「ユースが集まれる場を作る」という、基本的なところが大事だねという意見があった。ユースが来やすい時間、ユースが楽しくないと来にくいので、楽しい、面白いと感じるような座組みを作って欲しい。あと、今ある祭りや文化的な事業とか、そういうものにも積極的に参加し、そういう場を作っていきたい。そこであのような教材を使ってみて、当事者のユースがどう感じるかディスカッションする場を絶対作って欲しいと。方法として意見箱みたいなのをホームページに置き、読んだ感想とか、もっとこうだったらいいのにとか、使いづらいとか雑駁に意見が言える場所を作るのも大事だし、そこから先に、その意見を大人が受け止めて、工夫して一緒にどうやって行動を変えていけるかが大事ということがあった。それを若者が言える場が本当に無い、という点があり、地域のことをやっていくと、自然とその課題を通じて地域の人と知り合ったりするのかをSDGsに紐付けるとか、そうした事をもっとやり、身近な問題と結びつけるってことが大切で、それをユースの目線から見て、世界と地域で起こっている現象をつなげる事も必要なのでは、というアイデアがあった。
〇分科会2:足元の地学から防災へ、多世代で学んで実践へ
【ファシリテーターからの分科会報告】
北川有紀:(ほどがや市民活動センターアワーズ)
~ステークホルダーに合わせたストーリーづくり~
まず地域も世代も様々な方がいらしたので、お一人ずつ自己紹介をして、改めて事例の共有をした。地域の中で「防災訓練しましょう」と呼びかけるだけでは、すぐに人が集まらない。講座をやろうとか言っても、地域のステークホルダーは沢山いるのに集まらない、どうやったら集められるか、という課題などを共有した。
保土ケ谷の事例のポイントを改めて言うと、結果的には狙いとした防災につながるが、最初から「防災」という見せ方をしたのではない。皆さん地域のことを知りたいとか、もっと面白い学びを得たいとか、時には地学だったり、歴史だったりと、関心の高い分野があるので、そこを切り口にまずはお誘いする。そして来てもらったら必ずその先の展開を用意して、継続した学習の先に防災のテーマにたどり着くストーリーを仕立てた。その学び合う過程では、地域の中の人が先生にもなるし、参加者にもなるという関係を作ってきた事例だったと、改めて思った。
~対等な関係性と目的の共有~
グループワークでは、みなさん各地から来られていて、必ずしも防災への関心から始まるものではないので、それぞれのテーブルで活動やフィールドを持ってる方の事例や、学生がいるテーブルでは学生の活動を話してもらいながら、若者と一緒に取り組むアイデアや大事なことを話しあった。若者と大人を対立軸で考えるのではなく、互いを知り合う機会を地域で作りたいと考えている。しかし、大学ともっと連携したいと言いつつも、どこにその入り口があるのか分からない状況なので、まずはお互いを知り合うための宣伝広報活動とか、どの世代も「ここに集まったらいいのだよ」という場所を作るとかのきっかけが必要。ただし、場所は目的ではなく、あくまで活用する場なので目的が先に必要、という事を共有しなくてはならない等の話が出た。若者も高齢者も、義務感でこういう活動をする訳ではないから、面白いものが必要だよねと。サブカル的なゲームやアニメとかで興味を引き付け、SNSをもっと地域でも利用していき、大人は若い子に対して、ああだこうだと知識を与えるだけではなく、何をしたいんだろうと気付く姿勢も大事という話をした。広報の話はどこでも出て、プロボノとか、地域の活動ができるような人を集めたらどうか等、色々なアイデアが出た。最後に、若い子にとってのメリットが何かっていうところで、例えば学校のAO入試で使えるなどのキャリア的なメリットや、自分の役割がわかるような場所を作る等の話が出た。確かに学校との連携は、地域側からも課題だと思うので、地域の中でユースを、学校とも一緒に育てていくような関係が作れたら良いと思った。
〇分科会3:地域・分野を越えて社会的ケアをプロデュース
【ファシリテーターからの分科会報告】
島田幸子(関東地方ESD活動支援センター)
第三分科会の上岡さんは、大きく分けても四つの多様なプロジェクトをやっているが、事例発表で詳しく話ができなかったので、主にどんなステークホルダーとそれぞれのプロジェクトを回しているか補足をしてもらった。マダガスカルに、再生可能エネルギーであるソーラークッカーや、ロケットストーブを持っていき普及するプロジェクトでは、JICA、トヨタ、日本大使館、FAO、現地政府。認知症音楽プロジェクトでは、前職のつながりを活かして、ミュージシャンや徳光さんとか、クラウドファンディング通じていろんな応援者を募って福祉医療施設と連携している。三つ目の環境省の里山の保全と福祉プロジェクトでは、ログファイヤーをやっている。
上岡: <第三分科会・事例発表者>
スウェーデントーチという木ろうそくで、丸太を切って切り込みを入れて、丸太のろうそくに火を着きやすくした、特許をとったもの。
島田:それをやっている森林保全団体と、町内会、県・市、福祉の分野の方と連携してやっている。最後に、災害気候変動×障害者のプロジェクト。気候変動の影響で、地域で一番災害の影響を受けるのは障害者や弱者ということで、どうケアしていくかを、行政・学者・大学だったり、あるいは薬物依存からの更生をしているダルクと一緒にやっているという補足の説明をした。これらを聞いて、参加者の皆さんの感想としては、行動力、人脈、人の巻き込み方が凄い、多様性・着目点が凄い、というような意見が出た。
グループワークについては、他の分科会でも既に出てきているが、まずは場づくりが大事だと。近くで誰もが気軽に参加できる事だったり、学校を中心に地域を作るという観点、場所が欲しいということが出ている。やっぱり教育の機会を広げるには、まずはSDGsだったり社会課題を知ってもらう接点の授業やチラシなどが必要ではないかという話が出た。その際に大学生の意見として、意識して世代間連携をしていくと大学生は大学生だけ、シニアはシニアだけのようになり、かつ何を互いに認め合いながら意識した世代間連携をしていく。その際にちょっと注意しなくてはいけない点として、どうしても若い世代はメールを送っても、LINE口調とか短文になってしまうようなことは、お互いの性質として理解して、努力する必要があるということ。そして他のチームで出た話では、楽しいというようなきっかけがないとダメだ、という話があった。インセンティブの設定で、人によっては楽しさだったり、社会貢献だったり、様々なインセンティブを設定していくことが大事なんじゃないかSDGsスコアというのは、若い世代に信用が無いということで、SDGsで行動したことを登録すると、それがスコア化されて、自動的に見えるような仕組みがあると良い。ユースと高齢者をつなぐ、中間層の人たちも巻き込んで場作りを進めていけば良いというアイデアが出た。
〇分科会4:学校の内外で進める様々な学びの形
【ファシリテーターからの分科会報告】
伊藤博隆(関東地方ESD活動支援センター)
最初に補足の説明として、佐藤先生から発表の追加のお話しを頂き、今日は晃華学園から三名の学生さんも連れてきていただいて、学校でやっているSDGsや、SDGs文化祭に参加してどうだったかの感想を、改めて生徒さんから述べて頂いた。やはり学校だけではない得られない刺激があるとか、現在の取り組みの感想などを頂いた。佐藤選手も全体会の発表でも言われていたが、やはり全部が成功する訳ではなく、あくまで生徒の自主性に任せてやっており、それを教員がどう支えられるかというところでやっていて、リスクのギリギリのところは佐藤先生が判断して、生徒の自主性になるべく沿うように、それをどう教師がサポートするかという、追加の説明を頂いた。
グループワークも教員の方が多かったので、十個ぐらいグループ作り、それぞれに教員の方とユースの方が入って意見を交換した。他のグループと違って、こちらの主体がユースになるので、学校が外とどうつながるかっていう視点で、四について議論した。やはり町内会等の地縁組織と積極的につながっていくとか、生徒に興味を持たせ、身近にするというような事を、学校の方で何か仕組んでくれたらいいのかな、とか、例えば企業もSDGsを一生懸命やっているので、企業とのコラボとか、そういったものがあれば良いという話しが出た。
全体ディスカッション
当センターの高田企画運営委員長の進行により、事例発表者とのディスカッションを行った。
高田委員長:都留文科大学の環境教育を教えている高田です。よろしくお願いいたします。
今日は、びっくりしましたよね。分科会を色々回ったが、若い子が凄いですよね。思いませんでしたか。出る幕ないですよね。「ユースと創る未来」って書いてありますけど、違いますよね。いかにユースに譲る未来かと。もう僕は僕らがやってる場合じゃないと、そういう感想を思ったが、普段中高生と接している佐藤さんから、今日来ていただいた感想からお願いいたします
佐藤 <第四分科会・発表者>:今日はありがとうございました。高田先生の話にもあるように、僕の信念は基本的に“邪魔しない”というのが、凄く大切。やはり正直ここに来て下さっていることを僕は凄いと思う。興味があって、それを行動に移せている事が、まず何よりもちゃんとした凄さだと僕は思っている。こうしたところに来て、僕は二年前そちらに居て、今日はここに立たせていただいているので、多分皆さんの中から、誰か来年か再来年、誰かここに立つことになると僕は思う。そうなっている僕が、ここに立たせてもらっている要因は何かといえば、行動したことだと思っている。今日ここに来て下さって、それで終わるのではなくて、今日ここに来て何か次の行動に移れれば、凄く良いと思っている。そのために必要な仲間と出会う場がここの場であったらいいなと思っているので、今日はもしそういう場の一つに貢献できたらうれしいなと思っている。今日はありがとうございました。
高田委員長:ありがとうございます。ここに来て毎年驚くのは、凄い先生が頑張っていること。昔、環境教育が始まったころから文科省の先生方の研修をやっていて、その度に、全国で活動している先生を文科省経由探して発表してもらうが、なかなか良い人が居ない。去年発表した先生はいらっしゃいますか? 去年も感動したし、今年も感動した。まだ点かも知れないが、皆さんの実践が増えていって、これから他所の学校に広がっていくことを本当に期待している。では上岡さんお願いします。
上岡: <第三分科会・発表者> 高田先生が言われるように、ユースの皆さん凄いですね。さっきこちらに立っていた三人のユースの話を聞いていて、私も分からない言葉がある。もう本当にユースに譲る社会というか、高校とか中学にSDGsコンサルティング部を作っていただいて、我々がそのコンサルを受けに行ったほうがいいんじゃないかっていうくらいに思いました。実際のところで言うと、メディアとか情報発信も変わっていて、ユーチューバーがどんなことをやってるかは、僕らは分からないし、ユーチューバーの映像が一番売れてるのはユースの皆さんで、YouTubeやTikTokや、国境を越えて様々なメディアが動いていく中で、僕らの古い昭和のイメージで何かを伝えるのも、もう結構ダメで、逆にユースの人たちの新鮮なシャワーを浴びた方が、頭が活性化するのではないかと、凄く今日思いました。ぜひこういう会を、ユースの方を中心にやって、大人がそのシャワーを浴びるというのが増えていくと、良いのではないかと思いました。ありがとうございました。
高田:ありがとうございます。僕のゼミにもユースラムサールという若者たちの世界組織の代表をやっている子がいて、世界中走り回っていて、色々な会に出ていて、その子から僕は色々と教えていただいている。本当に、そういう若者たちをいかに動きやすくしてあげるかというのが、僕らの年代の仕事かなと思っている。北川さんどうぞお願いします。
北川: <第二分科会・発表者>今日はありがとうございました。ユースということで、普段保土ケ谷とか横浜をフィールドにしている中で、私が顔のわかる中高大学生を見ると、もうちょっとジャガイモっぽいかなと。今日来てくれたユースは、本当に凄い立派なお話しだったなと思うが、同じユース世代でも凄く色々な子がいると思う。私も十年前は多分ユースで、その頃にNPOの活動を始めたが、相当変わり者の少数派だった。今はドンドン活動の選択肢も幅も増えて、今の学生はもっと自由でいいな、と思った。その次の十年が、更に色々な可能性に溢れているというのは、やっぱり一人一人の活動の成果になっていくのかと思いつつ、これだけ立派に活動している若い子もいるが、まだ一人一人が背負っているものは大きくて大変だろうと思う。それがもっと地元で、普段よく飲んだり遊んだりしてる友達までが、SDGsの話しを始めちゃうみたいな、そこまで広がっていったらものすごい社会のインパクトになると思った。私も引き続き地元に戻ったら、若い子が地域に一歩踏み出して、それは衝撃的な体験でもあると思うけど、そういう若い人の活動を応援していけるようなことやっていって、こういう場に保土ケ谷からもユースを連れて来れたら良いと思った。ありがとうございました。
高田:最後に山崎さん、お願いします。
山崎: <第一分科会・発表者>:最初はこのイベントに参加しようと思っていなくて、気がついたらチラシに名前が入っていたということで、来ざるを得なくなったのが正直なところ。こういうプロジェクトを進める時は、NPOをやっている人ってものすごく忙しくて、ユースを入れながらするのは、正直言うと場も作らないといけないし、コーディネートもしないといけないってことで、大変だというのがあった。我々の団体も反働き方改革というような結構重労働の場になっているので、なるべくユースを入れないで、効率的にプロジェクトやろうというのが、今までの私の考え方だった。今日来てみて、高田先生と同じ感想持ち、ユースに譲ってかないといけない、と非常に思った。なので、どうしたらうまく譲っていけるだろうな、色々なアイデアも頂き、場も作らないといけないし、多分こういう地域の歴史にあるのを分からないユースもいっぱいいると思うので、今は知らせるツールができたので、今度はユースに興味を持ってもらえるような仕掛けを作って、譲っていく取り組みが必要だと感じた。高田先生の場も、来年度は恐らくユースに変わっているのではないかなと思いますので、それを期待したいと思います。
高田:多分来年はここに飯山君が座って、やっているのではないかと思う。飯山さん、折角、名司会をやって頂いたので、皆さんがそういうふうに言っているので、最後に一言。
飯山: <トークセッション・ファシリテーター> ありがとうございます。トークセッションの司会をやった飯山です。僕は今もそうですが、活動している時はユースとしてチヤホヤされる側だったのですが、最近は中高生がメインストリームになってきて、僕らでさえ危機感を感じるというか、中高生に負けていたら、僕たちも足を引っ張る側になるなという思いもあり、中高生の意見を、僕たちも今までは自分たちよりもちょっと後の世代というか、自分たちがメインストリームだって驕り高ぶっていた部分があったが、そのような事は全然なく、この中高生をメインストリームと見て、僕たちがちょっとある経験とかちょっとある学問的な考え方とかを一緒に共有しつつ頑張っていかなければと、今日改めて思った。
高田: どうもありがとうございました。飯山さんの素晴らしいお言葉を頂いて、時間になりましたので、これで終わりにする。
伊藤: 時間が非常に短く大変恐縮だが、懇親会の当日受付もあるので、消化不良の方はご参加頂きたい。私どもESDセンターができて三年目だが、今回は地域ESD拠点の方に発表して頂いて、こういったネットワークでESDの活動を広げていきたいと思っている。SDGs文化祭も、二年前のこの場がきっかけで佐藤先生からやりませんかとご提案いただいて、私どもと一緒に取り組んで、とても実になっていると思う。ですので皆さんからもそういったご提案とか、一緒にやりませんかといのがあれば、一緒に何か考えていけたら良いと思っているので、拠点の皆さんと共に、ESDの推進ができたらと思っている。本日は誠にありがとうございました。
まとめ:伊藤博隆(関東地方ESD活動支援センター)