【概要】
横浜市旭区にある「ハートフル・ポート」は、店主の五味真紀さんが自宅を改装して、2014年にオープンしたコミュニティ・カフェだ。私鉄沿線の住宅街にあり、平日３日間、昼間のみ営業している。ウクレレ教室や昭和歌謡、英会話、ワークショップなど、様々な行事を頻繁に開催しており、地域の人の憩いの場であるとともに、学びの場にもなっている。
今回、市民に向けたSDGsについて学ぶ場として、「SDGs～私たちにできることは？　市民目線でSDGｓを考える」と題されたイベントが開催され、その様子をレポートする。

【実施内容】

　SDGsに関するセミナー等は、企業、行政、学校などで開催される事が多いが、このイベントは地域に密着したコミュニティ・カフェで、主に地域の一般市民に向けて開催されたものだ。参加者は、リユースショップを運営するNPOのスタッフ、旭区の地域活動に取り組まれている方、区役所の区政推進課の方など15名。
まず講演として、SDGsターゲットファインダー（後述）の日本語版を開発した株式会社ワンプラネットカフェ代表取締役社長のエクベリ聡子氏より、SDGsについてのレクチャーがあった。

SDGsの概要・最近のSDGs動向をお話頂いた後に、海外の具体的な取り組みについて紹介があった。（一部を紹介）

• ルワンダ
  2008年にレジ袋禁止がされ、持ち込みも不可。小学生の男の子が「レジ袋を見た事がない」と言っていた。サステナビリティ・ネイティブの世代が育っている。
• Max Burgers
  スウェーデン最大手のハンバーガーチェーン。メニューにco2排出量が掲載されており、大豆ミートなどを多く導入し、全てのバーガーでクライメートポジティブ。
• Scandic hotel
  スウェーデンのホテルチェーン。部屋の電子キーまでが木製で、部屋の全てのものが自然に還る素材で出来ている環境配慮が徹底されたホテル。北欧をはじめとした海外の国々では、既にSDGsに適合した社会システムや企業サービスが多く、非常に良い参考になると感じた。
  その後、３つのグループに分かれ、自分が取り組んでいる事を、ターゲットファインダー（169のSDGsターゲットが短冊状のカードになっていて、取り外して使える）から探し、グループ内で共有した。SDGsに17の課題があることを理解する人は多いが、169のターゲットまで詳細に見る機会はあまり多くないと思われる。また、SDGsは様々な課題がそれぞれ連携しているので、例えば「４：質の高い教育をみんなに」ですが、教育は４だけでなく、「３：すべての人に健康と福祉を」、「12：つくる責任つかう責任」などにも入るなど、それぞれの課題が何らかの関連を持っている。このワークショップを通して、SDGsの課題解決には、自分の日々の暮らしの変容が大切である事が理解できたように思う。

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  セミナー終了後、時間のある方で昼食をいただきながら、参加者みんなで自己紹介と感想を述べたところ、皆さん横浜市内から来ており、地域で何らかの活動されていた。コミュニティ・カフェの主催ということで、行政や企業の主催のセミナーとは違う、地域の生活者の自由意志の集まりであるため、肩肘を張らずにカジュアルな雰囲気で、地域の新たな横の繋がりが出来ると感じた。
  SDGsは、社会全体で目指すものであるため、「市民目線でSDGｓを考える」という事は、非常に大事だと思う。市民レベルでSDGsの普及を図るにはこのような取り組みは有用であり、またESDの視点からすれば、生涯学習の場であるといえる。
  (スタッフ:伊藤)