ホーム > SDGs関連 センター事業 ユース向け レポート 地域ESD拠点  > <開催報告>令和3年度 SDGs文化祭 キックオフミーティング

ホーム > SDGs関連 センター事業 ユース向け レポート 地域ESD拠点  > <開催報告>令和3年度 SDGs文化祭 キックオフミーティング

2021.07.18 SDGs関連 センター事業 ユース向け レポート 地域ESD拠点 

<開催報告>令和3年度 SDGs文化祭 キックオフミーティング


【開催概要】

タイトル 令和3年SDGs文化祭 キックオフミーティング
日時 令和3年7月18日(日)14:00-16:30
場所 Webにて開催(zoom)
主催 SDGs文化祭実行委員会
共催 (一社)ESD TOKYO
後援 東京大学EMPOWER Project
協力 関東地方ESD活動支援センター

 

【企画背景】
これまでESDや環境教育は、主に小学校を中心に取り組まれてきましたが、2015年に国連でSDGsが制定されて以降、中学・高校でのSDGs教育へのニーズが高まってきました。こうした背景から、有志によるSDGs文化祭実行委員会を組織し、令和元年度に第1回SDGs文化祭を企画・運営しました。本企画は、SDGsに興味のある生徒を集め、協働して実践・発表の場を設けるものです。SDGsに興味があっても周囲に仲間がいない生徒や、学ぶ機会の少ない生徒に、積極的にSDGsに関わる場所を提供しています。またコロナ禍の影響により学校内外での生徒の活動の場が減少している時期だからこそ実施する価値があると考え、オンラインを活用して開催する事としました。


【本企画の特徴】
中高生を対象としたSDGsの企画は多くありますが、本企画の特徴は以下の3つあります。
①中高生による横の繋がりづくり
近年、SDGsに取り組む学校は増えていますが、まだ限られています。そのため、SDGsに取り組みたい意志はあっても、そのような環境にない生徒が多く存在している。学校の枠を越えて企画立案・運営することで、意志を持った生徒を結び付け、日本におけるSDGsの推進を加速させていきたい。
②中高生と大学生の縦の繋がりの強化
中高生と大学生がSDGsの推進に一緒に取り組むことによって、学校種を越えた新しい教育のデザインを示します。若い力のアイデアを具体化するためには、年齢を越えた協働の学びがとても大切です。
③生徒主体の発信
あくまでも生徒を主体とし、大人は場を提供するだけ、というスタンスを取っています。そのため、いわゆる賞は設けず、あくまでも取り組んだことを評価します。文化祭のように、それぞれが自分の興味の下に、様々な実践と発表を行っていきます。

 

【令和3年度SDGs 文化祭:全体スケジュール】

キックオフミーティング 7/18(日)
14:00-16:30
オンライン 問題意識や興味がある分野の共有を行います
2nd session 7/27(火)
15:30-17:00
オンライン 各自で考えたアイデアを大人に話して、アドバイスや感想を聞き、アイデアをブラッシュアップします。
3rd session 8/25(水)
10:00-12:30
東京ウィメンズプラザ
オンライン
チーム分けを行い、今後取り組んでいくSDGsプロジェクトを固めていきます。
中間発表 9/26(日)
14:00-16:30
オンライン 発表本番に向けてチームごとに途中経過を発表し、本番に備えます。
SDGs文化祭 10/31(日)
13:00-16:30
東京都内
場所未定
チームで取り組んだ成果を、様々な立場の人に発表し、対話・交流します。

 

SDGs文化祭の実施イメージ

 

■コーディネーター(SDGs文化祭実行委員)
〇松井晋作氏
大学院修了後、高校教員として10年間従事。その後、多摩大学を経て、現在、桐蔭横浜大学教育研究開発機構専任講師。一般社団法人ESD TOKYO共同代表理事。学校と社会をつなぐコーディネート事業や教育プログラム開発、教育効果検証ツール、カリキュラム・マネジメント事業等の多数実績あり。
研究分野は、教育社会学。特にESD(持続可能な開発のための教育)、GCED(地球市民教育)、SDGsの実践と研究。中等教育を対象とした教育データ分析や授業改善、ICTを活用した授業実践など。
〇佐藤駿介氏
(一社)ESD TOKYO 共同代表、私立中学・高等学校教諭
大学で政治学を学び、一般企業に勤務。その後、大学院を卒業し、私立高校の教員となる。
「実践に伴う知識の獲得」を掲げ、現在はESD/SDGs学習推進担当として活動している。

■協力団体
〇東京大学EMPOWER Project
東京大学の学生が中心となって、「誰一人取り残さない世界」を実現するための新プロジェクトを立ち上げました。私たちは、「協力が必要な時は、お声を!」の気持ちを表すマークである「マゼンタ・スター」を広めていくことで、困った時、協力してくれる人をみつけやすく、誰もが誰かのためになれる世界をつくることを目指しています。

 

【プログラム実施内容】

今回は新型コロナ対策として、参加者・スタッフ全てがオンライン会議システムのzoomを使用して、webにて開催した。
全体進行:桐蔭横浜大学 教育研究開発機構 専任講師:松井晋作氏

 

■開会挨拶・趣旨説明

〇関東地方ESD活動支援センター:伊藤博隆
SDGsの目標年である2030年は、皆さん何歳になっているだろうか。多くの人が就職して社会で働いている頃だと思うが、その未来を、「どうやってより良い社会に出来るか」という事でSDGs文化祭を企画している。SDGsは、ただ学んで終わりなのではなく、より良い社会を作るために行動するという事が今回の趣旨。今回をきっかけに、より良い社会を作るための取り組みを、皆さんと一緒に作っていきたいを思う。

 

■東京大学EMPOWER Projectによる講義

中高生にSDGsについてレクチャーするのは、大人がするより世代が近い大学生からのほうが、より伝わるのではという趣旨から、SDGsをきっかけに東京大学EMPOWER Projectのメンバーから、SDGsについてと、なぜそこから現在の活動を開始したかを説明してもらった。

 

◆講義1◆「国連とは? SDGsとは?」

EMPOWER Project 菅田利佳氏(東京大学2年)

まず「国連とは何か」の説明。第二次世界大戦の経験から、二度と戦争を起こさないための組織として設立された。国連の通常予算と世界の軍事費の合計を比べると、国連の予算はごくわずかという事や、国連の組織について説明があった。90年代に冷戦が終わり、その後は途上国について話し合いが行われる事が多くなり、そこで2000年に打ち出されたのがMDGs(ミレニアム開発目標)であり、乳児死亡率の減少など一定の成果を得たが、世界全体をターゲットとして計画されたのが、2015年のSDGsだ。最も遅れているところに第一に手を伸ばして、格差を無くしていこうというのが基本の考え方。MDGsとの違いは、途上国だけでなく先進国も対象にし、かつ企業やNGOの幅広いステークホルダーを巻き込んで解決していこうというもの。

 

◆講義2◆「SDGsが目指す『誰一人取り残さない』世界とは?」

EMPOWER Project 共同代表 飯山智史氏 (東京大学4年)

SDGsの17のターゲット全てを一つ一つ学ぶよりもまず、そこにある根本的な考え方「誰一人取り残さない」を理解することが重要。誰一人取り残さない、を実現するためには、最も遅れたところに手を差し伸べること。取り残されているのは誰?障害を例に考えてみる。これまでは「障害は医学的なアプローチで直していく」という考え方をしていたが、国連「障害者権利条約」を経て、現在では「障害は社会が作り出しているものである」という捉え方をして、生きづらさを感じている人が弱いのではなく、その「障害」を取り除いていくことが「誰一人取り残さない社会」を作るためのアプローチ方法となっている。ディズニーも、ホームレスのアラジンや先住民の子ポカホンタスなど、取り残され周辺化されている人を描いている。みんなに考えて欲しいのは、取り残された、手を伸ばすべき人を意識することが個人の生きづらさを解消して、社会全体を変えていくことにつながっていくこと。

 


◆講義3◆ EMPOWER Project

EMPOWER Project メンバー影山舜氏(東京大学3年)

先ほどのような課題の解決方法の一つとして、EMPOWER Projectを実施している。「電車の中で席を譲りたいけど、断られたらどうしよう」というような場面で役に立つのが、協力者カミングアウト。いままでは当事者がカミングアウトして助けを求めていたが、「協力が必要な方はお声がけください」というもの。「協力者カミングアウト」を示す「マゼンタスター」のバッチやチャームを身につけることで、協力の意思表示をすることができる。社会貢献というとハードルが高いかもしれないが、おしゃれなマークをつけるだけで良いので、受け入れられやすいと思う。店舗向けのステッカーなども作っている。国連の本部で発表したり、WFPやUNICEF、地方自治体、商店会、政治家、ピエールエルメというお菓子屋さん、マイクロソフト、三井住友海上などともコラボレーションをしながら様々な活動をしている。

↑マゼンタスターのキーホルダー。他にも様々なマゼンタスターがある。

 

■東京大学EMPOWER Projectによるワークショップ

EMPOWER Project メンバー
岡俊輔氏(東京大学4年)
青山洋祐氏(東京大学2年)

目標を持って学生生活を送る利点を考える一方で、目標無く過ごした場合の「偶然の生む出会い」「予期しない出来事の積み重ね」という利点を紹介。2つを対比させながら、課題や問題に対峙した際、複数の視点から考え、得た気づきから生まれる「新しい考え方」を自分の中に持つことの重要性を解説。新しい事、面白い事を展開していく際に、課題・問題が生まれた場合に「両方の立場」から考える視点を持ち、SDGs実現に向けたアクションを起こす際に、協力する仲間とのなかで、視点を複数持つことを忘れないで欲しい。Voice Of Youth Japanに過去に寄せられた記事にヒントを得てこのワークを実施。最後は「あなたにとって」を追加して「”あなたにとって” 学生生活を送る今、目標を持って生活することは必要だと思いますか?」を再質問。参加者の意見の変化を確認したワークでした。

 

◆講義4◆ボイス・オブ・ユース JAPAN について

EMPOWER Project メンバー
Voice Of Youth Japan 萩野聡子氏(東京大学2年)


日本全国のユースが集まるオンラインプラットフォーム。UNICEFとパートナーシップを組み、2018年に立ち上げた。グローバル版は、Voices of Youth というサイトで、UNICEFのNY本部で1995年に開設され、200以上の国と地域から、15~24歳を中心とした若者が参加している。ボイス・オブ・ユース JAPANが目指すことは、伝える場、受け取る場、繋がる場になること。全国のユースから記事を集めて、週に2回、投稿している。
皆さんがプロジェクトを作る参考として、私たちが活動に取り組んだ深いところを紹介する。このプロジェクトで私たちが叶えたいことは「どんな若者も誰一人取り残さない社会」。オンライン・プラットフォームの特性を生かして、障害があるとか、中学生であるから等の属性は関係なく、誰でも気軽に声を上げられる場をつくることで、全てのユース、サイレントマジョリティー、マイノリティーの後押しになれば良いと考えている。「全国駅伝」、「この日なんの日」などの企画を用意している。

 

◆ブレイクアウトルーム[ワークショップ]◆

最後のセッションとして、幾つかのブレイクアウトルームに分かれ、参加者同士で以下について共有を行った。
①今日の感想、印象に残ったものの共有
②これから自分が実践していきたいこと

 

◆感想・アイデア共有◆

【参加者の感想】
・SDGSの前身となるMDGsを知らなかったので、その経緯を知ることができてよかった。
・ディズニーのキャラクターを用いることで、障害が社会の問題であることが分かりやすかった。
・「協力者カミングアウト」を示す「マゼンタスター」のバッチを知り「自分にもできるんじゃないか。」という気持ちになった。
・「目標を持たなくてもいいと思う」という話が新鮮だった。

 

◆ファシリテーター感想◆

・それぞれ、自分の経験がベースで「困っている人がだれかを意識して」話ができている点がとてもよかった。
・参加者の興味が非常に多様である上に、既に実践として取組みを独自で始めていることが素晴らしかった。

 

◆実践してみたいアクッションの例◆

【グループ1】
学校で「プラスチック削減」活動を実施中。自分でボトルを持参し、給水という行動の定着を目指して、学年ごとに給水量を競うというプロジェクトを実施中。
【グループ2】
英語の授業でフェアトレードを知り、授業をしていて興味を持ち児童労働を解決するために現地に行って、当事者の声を聴きたいと思っている
【グループ3】
インドに4年在住。現地での貧困・衛生状況の悪さを目の当たりにしてきた。現地の状況改善を目標にして、SDGS文化祭を通して実施していきたい。
【グループ4】
ペットボトル削減のためにアプリやSNSを使って、給水した水の量アプリに記載してランキング化して競い合わせるプロジェクトを実施。興味の無かった人を巻き込む方法として、景品を用意し(クラス旅行・水1年分など)ランキングの結果を週1回SNSに投稿して、関心を引くよう努力した。結果、4500本の削減につながった。
【グループ5】
アメリカのサマープログラムでLGBTプロジェクトを実施している方の話を聞いた。日本は先進国なのにLGBT・ジェンダー意識が全く進んでいないので独自でプロジェクトを実施している。
【グループ6】
「飢餓をゼロに」というテーマで食品ロスをゼロにすることを考えている。まだ学生はSDGSを知らないのではないか。と考えており、自分の通っている高校ではSDGS学習の時間がないのでSDGS文化祭を通して、理解したことを広めて行きたいと考えている。

 

 

次回セッションまでの宿題として、参加者には本日の講義・ワークショップを通じて「自分がやりたい」と思うテーマについて、プロジェクトアイデアを考えてくる課題がでました。次回は、個々人が考えてきた「アイデア」を知らない大人に伝えていくセクションになります。その中で批判的な意見や様々な意見を聞くことができる貴重な機会になる予定です。(関東地方ESD活動支援センター 新木)

ホーム > SDGs関連 センター事業 ユース向け レポート 地域ESD拠点  > <開催報告>令和3年度 SDGs文化祭 キックオフミーティング
ホーム > SDGs関連 センター事業 ユース向け レポート 地域ESD拠点  > <開催報告>令和3年度 SDGs文化祭 キックオフミーティング