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2023.09.07 レポート 

【参加レポート】<教員対象>令和5年度 高校の探究の時間でSDGsに取り組むには、どうすれば良いかを考える勉強会


    日時 令和5年8月4日(金)10:00~12:00
    場所 東京ウィメンズプラザ 視聴覚室
    東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山1F
    対象 教員、教育委員会の方(主に、中高)、中高生の指導に関わる方
    参加者 13名
    主催 (一社)ESD TOKYO
    協力 関東地方ESD活動支援センター(関東ESDセンター)

     

    【企画趣旨】

    SDGsが広く社会に認識されるようになり、小・中学校の総合の時間をはじめ、高校でも「総合的な探究の時間」が科目として導入され、教育とSDGsを関連づけて学ぶスタイルも広がりを見せています。
     その一方で、教員がSDGsを総合的に理解する機会は限られており、主に初等、中等の教員を対象に、本勉強会が企画されました。学校等でSDGsを題材に授業を展開する先生方から、カリキュラム・マネジメントを見据えた上での導入経緯、取り組みの目指すゴールなどについてお話いただき、参加者の皆さんとディスカッションが行われました。

     

    【プログラム】
     

    ■趣旨説明、関東地方ESD活動支援センターの紹介

    (一社)ESD TOKYO:共同代表 佐藤駿介氏
    ESD/SDGsについての概略、ESD事例の紹介、前回の高校向けESDプログラムの紹介
    関東地方ESD活動支援センター:伊藤博隆
     

    ■第1部:学校が地域に開かれ様々な人と連携している事例の紹介

    多摩市若者会議における学校と連携した活動の事例について

    加藤 利樹 氏
    ・多摩市若者会議 コアメンバー 

    「多摩市若者会議」のコンセプト

    • 若者世代の視点で、多摩市の魅力を発見・創出・発信し、自ら企画・実践に取り組む。

     
    合同会社MichiLab

    • 市の委託事業は3年で終了したが、活動を存続させたいということで、若者会議を運営する会社として2019年に立ち上げた。現在、中心となって活動しているメンバーは約20名、社会人、教員、会社員など。MichiLabを通して企業、市役所、中学、高校、大学と連携した様々な活動を続けている。

     
    小中高生や大学と連携した活動の事例

    • メンバーが中・高・大学へ出かけていき、出前授業、ワークショップ、フィールドワークなどを実施。中学生がゼロからアイディアを出し、メンバーがサポートし、市内商店街でバザーを実施した例もある。
    • 様々な中高生や大学生、教員が若者会議に参加。
    • 地域の小学生向けに、SEとして働くメンバーがプログラミング教室を開講

     

     

    公立小学校での取組事例SDGs

    佐川 昌広 氏
    ・川崎市立平間小学校校長

    平間小SDGs3つの特徴

    • 学ぶだけでなく行動することが大切(SDGsアクション)
    • 学校全体での取組(ホールスクールアプローチ)
    • 多くの人の支え(マルチステークホルダー)。地域との連携・協働は公立校の利点+企業等とのマッチング

     
    平間小SDGs3アクション(教職員も子どもも見通しとつながりを大切に)

    • 子ども自らステークホルダー探し
    • 川崎のイベントに参加。教職員が川﨑SDGsフォーラム等の企業研修に参加し学ぶ・名刺交換し交流。
    • 企業とマッチング。3200団体の企業やNPO等のかわさきSDGsパートナーと連携・協働。

     
    平間小の取組を他校に活かしてもらうために

    • 川崎市施策「かわさきカーボンゼロチャレンジ2050」脱炭素授業構築を目指す
    • SDGsを嫌いにさせない。
    • 子どもの幸せはまず大人がウェルビーイングで幸福でなければならない。
    • 学校やまちを良くしたいという子どもの平間プライドや川崎プライドを育み、SDGsのまち川崎を目指す。

     

    ■第2部:SDGs探究について考えるワークショップ

    佐藤駿介氏の進行により、ワークショップが行われました。

    佐藤 駿介 氏
    ・(一社)ESD TOKYO、共同代表
    ・私立中学・高等学校教諭

    大学で政治学を学び、一般企業に勤務。その後、大学院を卒業し、私立高校の教員となる。
    「実践に伴う知識の獲得」を掲げ、現在はESD/SDGs学習推進担当として活動している。

     

    「学校をどのように開いていくか」、2つのテーマについて、参加者が3つのグループに分かれてディスカッションが行い、様々な意見が出されました。

     

    「テーマ1」 横に開く:学校を地域にどのように開いていくか。学校以外の主体、団体、市役所、PTAなど、どのような工夫をしたらよいか。課題など。

    • 教員も生徒も意識を変える。学校は皆で作っていく。これでなければならないというのではなく、これもやっていいというのがSDGs。
    • 学校と地域が対話できる場、コミュニティを作る。広報活動、地域の人を学校に招く。学校から地域に伝えたりお願いしたりできる場。
    • 平間小のように、学校全体として、SDGsに取り組もう、様々なことにチャレンジしよう、外にどんどん飛び出そうという雰囲気を作っていく。
    • 開かれた学校にしていくためには、外にどんどん飛び出す学習を教員がデザインしていく必要がある。そのためには、お金、時間、安全確保、大人の人数、教員のゆとりが必要なので、その難しさを解消する必要がある。
    • 企業など外部団体と連絡調整するのは、授業の合間など仕事をしながらだとどうしても難しい。ESDコーディネーターのような担当がいるとよい。
    • 隣の学校がSDGsに取り組んでいるのに、自分の学校では取り組んでいない場合、6年間積み重なると同じ公立小学校なのに大きな差が出てしまう。川崎市全体として取り組む必要があると思った。

     
    「テーマ2」縦に開く:幼小中高大をどのようにつないでいくか。他世代間の学びが重要。

    • 大前提として、先生方の忙しさや、そんなことはやらなくてもよいのではないかという学校の雰囲気を、まず何とかしなければならない。
    • 何をしたらよいかわからないという先生たちの意識を改革する。
    • 大人同士、先生同士が気軽に交流できる雰囲気作りから始める。地域の幼稚園、中学校、高校に行ってみる。
    • 幼小中高大、人脈ベースでつながる。卒業生をゲストティーチャーとして招く、生徒たちが教えに行くなど、異業種の交流をどんどんやっていく。大学に近い学校、卒業生など、多様な年代でつながっていく。
    • 上から下に教えるのではなく、年齢に関係なく対等に学んで、体験して共有する環境を作ることが大事。海外では異なる年齢の子たちが一緒に学ぶのが普通。教育の現場でもできるとよい。
    • 先生がファシリテーターになるのではなく、マネジメントの立場として、地域の人や学校の関係者を連携させていくような一歩引いた立場で関わっていけば、忙しさと離れて取り組むことができるのでは。

     

     

    まとめ

    最後に、ファシリテーターの佐藤駿介氏より、以下のようなまとめのコメントがありました。

    • この後、どのように行動していくかが大切。
    • 人脈が非常に大切という話もあったので、参加者同士が名刺交換をしたり、今回の研修をきっかけに次の機会につながるような機会になると私も嬉しい。
    • これがスタートという形に進めていっていただけるとありがたい。

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