関東地方ESD活動支援センター“ESDユース応援企画2”
日時 | 平成30年9月1日(土)14:00~16:30 |
場所 | 地球環境パートナーシッププラザ(GEOC) (東京都渋谷区神宮前5-53-70 国連大学ビル1F) |
対象 | 高校関係者(教員、NPO等)、ユネスコスクール、ESDに関心のある方など |
参加者 | 28名 |
主催等 | 主催:関東地方ESD活動支援センター 企画協力:多摩大学 高大接続アクティブラーニング研究会幹事 松井 晋作氏 |
【企画趣旨】
これまで ESD や環境教育は、小・中学校で実施される場合が多く、高校生を対象とした取組は少ないとされてきました。
関東地方ESD 活動支援センターでは、平成30年6月に「みんなで考える、高校向け SDGs プログラム」と題したセミナーを開催し、現役高校教諭や NPO、高校生など、多くの方にご参加いただきました。今回の勉強会では、高等学校において「様々な学力層の生徒を対象とした ESD を企画、実践している(SDGs も含める)高校教育関係者・教員向けの勉強会」として、企画しました。
【プログラム】
発表資料 (PDF:4.3MB)
■趣旨説明
関東地方ESD活動支援センター:伊藤博隆
ESD/SDGsについての概略、ESD事例の紹介、前回の高校向けESDプログラムの紹介
■第1部:3名の現役高等学校の教員によるESD実践報告
まず、高等学校の現役教員より、現在の取組状況などについて発表して頂いた。
高等学校におけるSDGs の取り組みと課題
岩倉高校・松本 祐也氏 3学年主任兼総合学習教科主任教諭。2016年度から2年間、東京都私学教育研究所の研究指定校である現勤務校にてプロジェクトリーダーとして従事。SDGsの学習プログラム策定を主導している。 |
定時制高校におけるアクティブラーニングの意義とは
都立福生高校・西谷 真一氏 4学年担任兼理科(化学)教諭。東京都のアクティブラーニング指定校である現勤務校にて、アクティブラーニング推進委員長として従事。学校全体の取り組みを主導する立場での統括教諭として活動している。 |
リーダーシップ教育とSDGs
都立駒場高校・木村 裕美氏 3学年担任兼家庭科教諭。全国家庭科教育協会常任理事。都立高等学校教育課程委員会「人間と社会」作業部会委員を務めている。家庭科の授業において、「誰もが発揮できるリーダーシップ」を育むリーダーシップ教育を取り入れている。 |
■第2部:ESD実践について考えるワークショップ
今回、企画からご協力頂いた松井晋作氏の進行により、ワークショップを行なった。
多摩大学高大接続アクティブラーニング研究会幹事:松井 晋作氏 高校教員を10年間務めた後、現職。研究テーマはESD・高大接続・学校と社会をつなぐトランジションなど。目黒区商店街連合会や一般社団法人運動会協会においてコーディネーター及びファシリテーターを兼務。企業・官公庁・地域住民・学校などのステークホルダーを連携する活動に従事している。 |
(1)ワールドカフェによる共有・意見交換
テーマ毎で席替えをするワールドカフェ方式で、各教諭よりご発表頂いた内容について意見交換を行った。
(2)ディスカッション
話題提供:松井さん
まず、事前に配布した「まとめシート」に、個人作業として「気づいた・考えた事」と「やりたい事」を記入し、その後に、4名程度のグループで話し合いを行なった。
各グループのまとめとして、「気づいた・考えた事」と「やりたい事」をまとめた。
<1班>
・家庭や学校ではない、SDGsを学ぶ「第3の場」があると良い。先生が社会課題を話すよりも、別の大人が話してあげることで理解が進む。
・ビジネスと教育の距離をどれだけ近づけていけるか
・生徒の主体性を大事にしたい。生徒の「したい」「やりたい」という気持ちをどれだけ大切にしていけるか。
<2班>
・SDGsは探求の授業が入ってきた時に、相性が良い
・教師のSDGsの認識は低いと思われるが、知識ある人が学校に導入し、生徒の主体性を伸ばしていくことが大事
・社会が変化していく中で、多様性について理解が必要であり、その一助としてSDGsへの理解を深めていくことが必要
<3班>
・新学習指導要領はかなり良い内容で、噛めば噛むほど味が出る
・それを未来へのロードマップと位置づけて、ESD、SDGs、国際バカロレアなどを取り込んで、活かしていく
<4班>
・SGGsは定時制でも色々な教科でもできる
・先生が異動しても継続できる仕組みを作ることが大事
・学校と社会を、どうつなげていくか。
・生活保護世帯の子に、社会との関係性をどう作っていくかが重要。
<5班>
・ここでの出会いを生かした人脈づくりが大事。
・社会人も喫緊の課題を解決するためにSDGsを学ぶべき
・ビジネスも業界ごとに意識の差がある。自分事にしていく事が大事。
・子どもと大人が一緒に学ぶ場があっても良い。
<6班>
・一般の社会ではSDGsが広がりつつあるが、小・中・高・学校現場は非常にゆっくり。ギャップを埋める方法を考えていかないといけない。
まとめ
ファシリテーター:多摩大学 松井晋作氏
皆様それぞれ戻って、実践される点もあるでしょうし、新たに学べたという点があれば幸いです。お忙しい中、お集まり頂きありがとうございました。今後も企画やご意見があればお寄せください。
ご参加者からのフィードバック
まとめシートより(抜粋)
〇気づいたこと、考えたこと
- 属性が異なると、アプローチや視点が異なり、新たな気づきがあった(教師)
- ここに来ている先生方、社会人の方々、みんな課題をもち、何とかしたいと思っていらっしゃるということで、改めて自分だけではないと思った(教師)
- 様々なバックグラウンドを持つ先生方と話すことができ、良かった。(教師)
- (ESD、SDGs、リーダーシップ教育)×探求学習は相性が良いのではないか。(企業)
〇やりたいこと
- 自分のいる環境(学校)を前へすすめ、卒業生在校生が今よりも自信をもっていけるようにしていきたい。そのために校内勉強会を活性化し、全体的に変化していけるようになってほしい(教師)
- 次期指導要領の目指すところを理解しつつ、ESD、SDGsを折り込んでいく
- 視写することにだけ注ぐ授業に「終止符」を打つ
- SDGsのことを詳しく伝えるのではなく、分かりやすく伝えていく。→子どもたちの生活体験につなげる。
- 知った情報を共有する術を増やす。→知識が広がっていくのでは?
- 子どもの時に、どんな経験をできるかを、時代背景や地域の文脈に合わせて考える。
- ESD、SDGsの考え方やとりくみを、もっと学校現場に拡げていきたい。
- 地域で人間同士のつきあいをすれば、学ぶことはたくさんあるよ!!と伝えたい。そういう機会をたくさん作りたい。
【参考:SDGs4】
SDGs(国連・持続可能な開発目標)4「質の高い教育をみんなに」 で本勉強会と関連する主なターゲット | |
ターゲット4.4 | 2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。 |
ターゲット4.5 | 2030年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子どもなど、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。 |
ターゲット4.7 | 2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。 |
まとめ:関東地方ESD活動支援センター 伊藤博隆