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2020.07.02 SDGs関連 センター事業 ユース向け レポート 教員・指導者向け 

<開催報告>令和2年度 SDGs文化祭 キックオフミーティング


【開催概要】

タイトル SDGs文化祭 キックオフミーティング
日時 令和2年6月28日(日)13:00~16:30
場所 Webにて開催(zoom)
主催 SDGs文化祭実行委員会
共催 (一社)ESD TOKYO
後援 東京大学EMPOWER Project
協力 関東地方ESD活動支援センター
参加 主に関東の中高生:21校38名、
大学生メンター11名(東京大学EMPOWER Project)
資格 〇対象:中学生及び高校生またはフリースクール等の生徒

  1. SDGsに本気で取り組みたい意欲があること
  2. 「SDGs文化祭への参加及び個人情報に関する書類」に保護者の署名があること
  3. 原則として、キックオフから全行程に参加できること
  4. Web会議への参加やEメールの使用が可能な通信環境があること

 
 
【企画背景】
これまでESDや環境教育は、主に小学校を中心に取り組まれてきましたが、2015年に国連でSDGsが制定されて以降、中学・高校でのSDGs教育へのニーズが高まってきました。こうした背景から、有志によるSDGs文化祭実行委員会を組織し、令和元年度に第1回SDGs文化祭を企画・運営しました。本企画は、SDGsに興味のある生徒を集め、協働して実践・発表の場を設けるものです。SDGsに興味があっても周囲に仲間がいない生徒や、学ぶ機会の少ない生徒に、積極的にSDGsに関わる場所を提供しています。またコロナ禍の影響により学校内外での生徒の活動の場が減少している時期だからこそ実施する価値があると考え、オンラインを活用して開催する事としました。
 

【本企画の特徴】
中高生を対象としたSDGsの企画は多くありますが、本企画の特徴は以下の3つあります。
①中高生による横の繋がりづくり
近年、SDGsに取り組む学校は増えていますが、まだ限られています。そのため、SDGsに取り組みたい意志はあっても、そのような環境にない生徒が多く存在している。学校の枠を越えて企画立案・運営することで、意志を持った生徒を結び付け、日本におけるSDGsの推進を加速させていきたい。
②中高生と大学生の縦の繋がりの強化
中高生と大学生がSDGsの推進に一緒に取り組むことによって、学校種を越えた新しい教育のデザインを示します。若い力のアイデアを具体化するためには、年齢を越えた協働の学びがとても大切です。
③生徒主体の発信
あくまでも生徒を主体とし、大人は場を提供するだけ、というスタンスを取っています。そのため、いわゆる賞は設けず、あくまでも取り組んだことを評価します。文化祭のように、それぞれが自分の興味の下に、様々な実践と発表を行っていきます。
 

【SDGs文化祭:全体スケジュール】

キックオフ 6/28(日) オンライン 問題意識や興味がある分野の共有を行います
2nd session 8/8(土)PM オンライン 市民や大学生との対話を通じ、SDGsの課題とその解決方法をブラッシュアップする
8/30(日)
13:00-16:00
オンライン 中高生がそれぞれ課題解決のアイデアを持ち寄り、文化祭に向けたチームを作りSDGsプロジェクトを固めていく
中間発表 10月の日曜
(日時未定)
東京都内 それぞれのチームより途中経過を発表し、互いの学び合いの場とします。
SDGs文化祭 11/15(日) 東京駅周辺を想定 取り組んだことを広く社会に発表し、社会からの反応をみる事で、リアルな学びにつなげます。
リフレクション 12月の日曜 東京都内・
場所未定
学んできた事の振り返りを行い、今後につなげます。

※今後の日程は、新型コロナ感染状況によりリアル/オンライン開催を柔軟に対応。
 
 
■コーディネーター(SDGs文化祭実行委員)
〇桐蔭横浜大学 教育研究開発機構 専任講師:松井晋作氏
高校教員を10年間務めたのち、多摩大学を経て現職。目黒区・多摩市などで教育コーディネーターに従事する中で、関東地方ESD活動支援センターのユース応援企画のコーディネートを行う。研究分野は、ESD・SDGs・インクルーシブ教育・学校と仕事・社会をつなぐトランジション。
〇私立中・高教諭:佐藤駿介氏
大学で政治学を学び、一般企業に勤務。その後、大学院を卒業し、私立高校の教員となる。
「実践に伴う知識の獲得」を掲げ、現在はESD/SDGs学習推進担当として活動している。
 
■協力団体
〇東京大学EMPOWER Project
東京大学の学生が中心となって、「誰一人取り残さない世界」を実現するための新プロジェクトを立ち上げました。私たちは、「協力が必要な時は、お声を!」の気持ちを表すマークである「マゼンタ・スター」を広めていくことで、困った時、協力してくれる人をみつけやすく、誰もが誰かのためになれる世界をつくることを目指しています。
 
 

【プログラム実施内容】

今回は新型コロナ対策として、参加者・スタッフ全てがオンライン会議システムのzoomを使用して、webにて開催した。
全体進行:桐蔭横浜大学 教育研究開発機構 専任講師:松井晋作氏
 

■開会挨拶・趣旨説明

〇関東地方ESD活動支援センター:伊藤博隆
SDGsの目標年である2030年は、皆さん何歳になっているでしょうか。多くの人が就職して社会で働いている頃だと思うが、その未来を、「どうやってより良い社会に出来るか」という事でSDGs文化祭を企画している。SDGsは、ただ学んで終わりなのではなく、より良い社会を作るために行動するという事が今回の趣旨。ですので、今回をきっかけに、より良い社会を作るための取り組みを、皆さんと一緒に作っていきたいを思いますので、よろしくお願いします。
 

■導入説明

〇桐蔭横浜大学 教育研究開発機構 専任講師:松井晋作氏

参加した中高生は、学年もバラバラで殆どが初対面であり、オンラインに慣れていない生徒も多いことから、緊張を解きほぐすためにアイスブレイク(氷を溶かす)と、zoomに慣れるための練習として、チャットを使って「お昼に食べたもの」、を書き込んでもらった。
昨年度実施した際は模造紙と付箋紙を使って意見交換をしたものは、今年度はオンラインで開催したことから、参加者全員にgoogleのアカウントを取得してもらい、Google Jamboardというオンラインのホワイトボード機能を使って情報共有するため、使い方の説明や練習を行った。

↑オンライン開催のシステム図(クリックで拡大)
 

■東京大学EMPOWER Projectによる講義・ワークショップ

中高生にSDGsについてレクチャーするのは、大人がするより世代が近い大学生からのほうが、より伝わるのではという趣旨から、SDGsをきっかけに東京大学EMPOWER Projectのメンバーから、SDGsについてと、なぜそこから現在の活動を開始したかを説明してもらった。
 

■講義「国連とは? SDGsとは?」

EMPOWER Project メンバー
橋元菜摘氏(東京大学農学部緑地環境学専修3年)
菅田利佳氏(東京大学文科三類2年)


まず「国連とは何か」の説明。第二次世界大戦の悲惨な経験から、二度と戦争を起こさないための組織として設立された。国連の通常予算と世界の軍事費の合計を比べると、国連の予算はごくわずかという事や、国連の組織について説明があった。世界的な課題を解決するために様々な条約などが作られたが、これらを統合的に解決するために、2000年にMDGs(ミレニアム開発目標)が掲げられ乳児死亡率の減少など一定の成果を得たが、依然として不平等な状態が続いていることから、2015年に設けられたのがSDGs。ここで一番大切にされていることは、「誰一人、取り残さない」。最も遅れている人(求めているけど届かない人:食料が欲しくても届かない人など)に最初に手を伸ばして、脆弱な人々の能力強化(EMPOWER)をして格差を無くしていこうというのを大切にしている。
 

■講義「SDGsが目指す『誰一人取り残さない』世界とは?」

EMPOWER Project 共同代表 飯山智史氏 (東京大学医学部4年生)

SDGsの17のターゲット全てを一つ一つ学ぶよりもまず、そこにある根本的な考え方「誰一人取り残さない」を理解することが重要。誰一人取り残さない、を実現するためには、最も遅れたところに手を差し伸べること。国連の第2代事務総長の言葉として「国連は人を天国に誘うためでなく、人を地獄から救うために設立された」というものがある。国連のいう「周辺化された人」というのは、例えば移民、障害者、高齢者、先住民、LGBTなど。自分の好きなディズニーも、ホームレスのアラジンや先住民の子ポカホンタスなど、取り残され周辺化されている人を描いている。みんなに考えて欲しいのは、取り残された、手を伸ばすべき人を意識すること。
 

■ Workshop No.1

EMPOWER Project 共同代表 飯山智史氏 (東京大学医学部4年生)
これらの話を受けて、『あなたが思う「取り残されている」対象は何だろう?』というテーマで、オンラインのグループワークを実施した。
zoomの「ブレイクアウトルーム」という機能を使って参加者を9つのグループに分け、そこにグループ・ファシリテーターとしてEMPOWER Projectの大学生メンターが加わった。意見を共有する機能としては、Google Jamboardを使用した。
 

■ブレイクアウトルーム
ワークショップ・テーマ:『あなたが思う「取り残されている」対象は何だろう?』
参加者4~5人のグループに大学生メンターが一人ついて、グループファシリテーターとして進行をした。


↑Google Jamboardで共有された意見
 
ブレイクアウト・ルームを終了し、全体会に戻った後、各グループで話された話題について、何人かの学生から報告をしてもらい共有を行った。
 
Workshop No.1 の補足説明
プロジェクトを進める上で大切なことは、「取り残されている」対象を意識すること。対象とされた人にどうやってアプローチしていき、どのように「誰一人取り残さない」世界を実現するか考えてみたい。
障害を例に考えてみたい。障害者というと、車椅子を思い浮かべるが、それは古い考え方。足が悪いのを直して障害をなくすという考えが、障害の医学モデルという考え方。それが2006年に国連で障害者の権利条約が採択され、障害の社会モデルという考えに変わった。例えば道に階段や段差がなければ、車椅子の人もどこへでも自由に行けて、障害者ではなくなる。障害は人ではなく、社会側にある、という考え方になった。そうした社会的な障害がなければ、目が見えないとか車椅子に乗っているのも、単なる一つの個性。これまで社会を変えるというと、国や政治で社会を変えてきたが、SDGsの良いところは、一人一人の行動によって社会が変えられる、ということ。ディズニーのキャラクターたちも、そうした個性があり、虐げられていた中から、周りが変わっていく、社会が変わっていくことで活躍している。ディズニーのように、文化の力で社会を変えていこうとしている。僕たちも文化から変えていけると思っている。
具体的な例として、カラー・ユニバーサル・デザインがある。地下鉄の路線図が色覚障害の方にも分かりやすくなったり、駅ナンバリングになったことで、外国人や色々な人にとって便利になった。こういう事が社会モデルに基づいて社会が変わったということ。
 

「EMPOWER Projectについて」


EMPOWER Project メンバー
影山舜氏(東京大学農学部フィールド科学専修3年)


先ほどのような課題解決の方法の一つとして、EMPOWER Projectを実施している。
「電車の中で席を譲りたいけど、断られたらどうしよう」というような場面で役に立つのが、協力者カミングアウト。いままでは当事者がカミングアウトして助けを求めていたが、「協力が必要な方はお声がけください」というもの。「協力者カミングアウト」を示す「マゼンタスター」のバッチやチャームを身につけることで、協力の意思表示をすることができる。
 社会貢献というとハードルが高いかもしれないが、おしゃれなマークをつけるだけで良いので、受け入れられやすいと思う。店舗向けのステッカーなども作っている。国連の本部で発表したり、WFPやUNICEF、地方自治体、商店会、政治家、ピエールエルメというお菓子屋さん、マイクロソフト、三井住友海上などともコラボレーションをしながら様々な活動をしている。

↑マゼンタスターのキーホルダー。他にも様々なマゼンタスターがある。
 
休憩(10分)
 

■ Workshop No.2

EMPOWER Project メンバー
岡俊輔氏(東京大学工学部都市工学科4年)
青山洋祐氏(東京大学文科一類2年)

まず「学生生活を送る今、目標を持って生活することは必要だと思いますか?」について、個人で1分間考えてもらった。その後、zoomの投票機能を使いアンケートを取った。

目標を持つと、「自分が何を目指しているのか明確にすることができる」「モチベーションにつながる」などが挙げられると思う。目標は持たなくても良いという考えでは、「自分を追い込まずに楽しんで物事を過ごすことができる」、「常に持たなくていい、必要な時だけ」などが挙げられると思う。
目標を持つという事は、どういう事か? 大学受験を例に考えてみたい。

一般的には志望校という目標に受験勉強に励む事があるが、一方で自分の興味についての探求を極めるということもある。目標があるなしに関わらず、同じような結果になるかもしれない。今の話を聞いた上で、グループで話し合っていきたいと思う。
 

■ブレイクアウトルーム
ワークショップ・テーマ:「学生生活を送る今、目標を持って生活することは必要だと思いますか?」
先ほどのグループとは、メンバーを入れ替えて実施。

グループディスカッション終了後、全体で何名かに意見を話してもらった。
 
青山洋祐氏からの説明
このワークショップで伝えたかったのは、「Critical Thinking」という批判的思考と呼ばれるもの。一つのものごとを別の価値観で捉えて、自分と違う考えであっても、それを認めるということ。目標を持って努力することも大事だが、そうではない考えもある。この考えは、私たちがやっているもう一つのプロジェクト「ボイス・オブ・ユース JAPAN」からアイデアを得たもの。
 →ボイス・オブ・ユース JAPAN 投稿記事
この記事の人は、「目標設定は強いられてするものではなく、目標にしたいと思えるものに出会うまで保留していいのではないか」と言っている。このように多様な意見があり、それに耳を傾けることは大事なこと。そこで私たちは、ユースの様々な声を集めるために、ボイス・オブ・ユース JAPAN というサイトを立ち上げた。
 

■ボイス・オブ・ユース JAPAN について


EMPOWER Project メンバー
横山果南氏(東京大学医学部医学科4年)

日本全国のユースが集まるオンラインプラットフォーム。UNICEFとパートナーシップを組み、2018年に立ち上げた。グローバル版は、Voices of Youth というサイトで、UNICEFのNY本部で1995年に開設され、200以上の国と地域から、15~24歳を中心とした若者が参加している。ボイス・オブ・ユース JAPANが目指すことは、伝える場、受け取る場、繋がる場になること。全国のユースから記事を集めて、週に2回、投稿している。
皆さんがプロジェクトを作る参考として、私たちが活動に取り組んだ深いところを紹介する。このプロジェクトで私たちが叶えたいことは「どんな若者も誰一人取り残さない社会」。オンライン・プラットフォームの特性を生かして、障害があるとか、中学生であるから等の属性は関係なく、誰でも気軽に声を上げられる場をつくることで、全てのユース、サイレントマジョリティー、マイノリティーの後押しになれば良いと考えている。「全国駅伝」、「この日なんの日」などの企画を用意している。
 

■グループワーク

進行:桐蔭横浜大学 教育研究開発機構 専任講師:松井晋作氏
皆さんよりちょっと先輩の、大学生が取り組むプロジェクトを見て、参考になったと思う。グループワークに入る前に、是非見てもらいたい動画があるので、共有します。

COVID-19感染拡大による子どもへの影響に関するアントニオ・グテーレス国連事務総長ビデオ・メッセージ
(ニューヨーク、2020年4月16日)
国連広報センター
 
今、国連事務総長の話を聞いてもらったが、世界に向けて発信している言葉であっても、今の日本にもかなり当てはまる。日本の学校でもオンライン授業を行っているが、公立学校ではオンライン環境が整っていない学校も多く、教育環境の格差が広がっている。
今回、SDGs文化祭をオンラインで行おうと思ったのは、「学びを止めない」ことが契機ではあるが、世界では「子どもたちの健康を守る」という合言葉がコロナ禍のキーワードになっており、学びができる皆さんに、この状況を理解してもらいたいためである。
今日は、「EMPOWER Project」、「ボイス・オブ・ユース JAPAN」の2つの活動について話を聞いた。今日の段階で、自分はどのような感想を持ったか、グループで話し合ってもらいたい。ただ学ぶだけでなく、実践に繋げていくような活動をしてもらいたい。
 

■ブレイクアウトルーム
ワークショップ・テーマ:「今日の感想、印象に残ったものの共有」
先ほどのグループとはメンバーを入れ替えて実施。

 
グループワークで話し合った事の共有(参加者の感想)

  • SDGs文化祭に参加して、大学生の人が色々なプロジェクトをやっていて、凄く刺激を受けた。高校生だけど、できることを考えてみようと思った。私は教育に興味があり、日本でもオンライン授業ができなくて学校に通えない子も多いので、色々と調べる事が必要だと思った。
  • 知らなかったことを、たくさん知れた。ボランティア部に入っていて、色々な活動をしてきたが、大学生の皆さんが、色々な人と意見交換をしたり、活動的に動いているのを知り、私ももっとボランティア活動を頑張ろうと思った。また色々の意見を聞くことで、考えが広がると思った。
  • 障害というのは、身の回りの環境が障害を生むという事を再認識したことと、学校の卒業研究でマイクロプラスチックをやっていて、レジ袋削減などを企業に提案するプロジェクトをやっている。海の生物を守りたいという視点で大きな視点から考えていたが、大学生の皆さんの活動を見て、自分の身の回りの人を助けるという事が、SDGsの解決に役立っていると思った。大学生が、周りを巻き込んでやっているのが凄いと思った。

 
次回までの宿題として、今日の話やワークショップを通じて、「自分がやりたい」と思うテーマについて、プロジェクトのアイデアを考えてほしい。次回は、個々人が考えてきた取り組みを知らない大人に伝えていく。その中で批判的な意見や様々な意見を聞くことができると思う。
次回までの宿題として、自分の考えをポスターやパワーポイントに、なるべく具体的にまとめて紹介できるようにしてください。
 
 
リンク
令和元年度 SDGs文化祭
 
 
まとめ:伊藤博隆(関東地方ESD活動支援センター)

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