SDGs文化祭 中間報告会・報告
【開催概要】
タイトル | SDGs文化祭 中間報告会 |
日時 | 令和2年10月4日(日)13:00~15:30 |
場所 | Webにて開催(zoom) |
主催 | SDGs文化祭実行委員会 |
共催 | (一社)ESD TOKYO |
後援 | 東京大学EMPOWER Project |
協力 | 関東地方ESD活動支援センター |
参加 | 主に関東の中高生:12名 大学生メンター7名(東京大学EMPOWER Project) |
【企画背景】
これまでESDや環境教育は、主に小学校を中心に取り組まれてきましたが、2015年に国連でSDGsが制定されて以降、中学・高校でのSDGs教育へのニーズが高まってきました。こうした背景から、有志によるSDGs文化祭実行委員会を組織し、令和元年度に第1回SDGs文化祭を企画・運営しました。本企画は、SDGsに興味のある生徒を集め、協働して実践・発表の場を設けるものです。SDGsに興味があっても周囲に仲間がいない生徒や、学ぶ機会の少ない生徒に、積極的にSDGsに関わる場所を提供しています。またコロナ禍の影響により学校内外での生徒の活動の場が減少している時期だからこそ実施する価値があると考え、オンラインを活用して開催する事としました。
【本企画の特徴】
中高生を対象としたSDGsの企画は多くありますが、本企画の特徴は以下の3つあります。
①中高生による横の繋がりづくり
近年、SDGsに取り組む学校は増えていますが、まだ限られています。そのため、SDGsに取り組みたい意志はあっても、そのような環境にない生徒が多く存在している。学校の枠を越えて企画立案・運営することで、意志を持った生徒を結び付け、日本におけるSDGsの推進を加速させていきたい。
②中高生と大学生の縦の繋がりの強化
中高生と大学生がSDGsの推進に一緒に取り組むことによって、学校種を越えた新しい教育のデザインを示します。若い力のアイデアを具体化するためには、年齢を越えた協働の学びがとても大切です。
③生徒主体の発信
あくまでも生徒を主体とし、大人は場を提供するだけ、というスタンスを取っています。そのため、いわゆる賞は設けず、あくまでも取り組んだことを評価します。文化祭のように、それぞれが自分の興味の下に、様々な実践と発表を行っていきます。
【SDGs文化祭:全体スケジュール】
キックオフ | 6/28(日) | オンライン | 問題意識や興味がある分野の共有を行います |
2nd session | 8/8(土) 13:00~18:00 |
オンライン | 市民や大学生との対話を通じ、SDGsの課題とその解決方法をブラッシュアップする |
3rd session | 8/30(日) 13:00-15:00 |
オンライン | 中高生がそれぞれ課題解決のアイデアを持ち寄り、文化祭に向けたチームを作りSDGsプロジェクトを固めていく |
中間発表 | 10/4(日) 13:00-15:00 |
オンライン | それぞれのチームより途中経過を発表し、互いの学び合いの場とします。 |
SDGs文化祭 | 11/15(日) | オンライン | 取り組んだことを広く社会に発表し、社会からの反応をみる事で、リアルな学びにつなげます。 |
リフレクション | 12月の日曜 | 東京都内・ 場所未定 |
学んできた事の振り返りを行い、今後につなげます。 |
■コーディネーター(SDGs文化祭実行委員)
〇桐蔭横浜大学 教育研究開発機構 専任講師:松井晋作氏
高校教員を10年間務めたのち、多摩大学を経て現職。目黒区・多摩市などで教育コーディネーターに従事する中で、関東地方ESD活動支援センターのユース応援企画のコーディネートを行う。研究分野は、ESD・SDGs・インクルーシブ教育・学校と仕事・社会をつなぐトランジション。
〇私立中・高教諭:佐藤駿介氏
大学で政治学を学び、一般企業に勤務。その後、大学院を卒業し、私立高校の教員となる。
「実践に伴う知識の獲得」を掲げ、現在はESD/SDGs学習推進担当として活動している。
■協力団体
〇東京大学EMPOWER Project
東京大学の学生が中心となって、「誰一人取り残さない世界」を実現するための新プロジェクトを立ち上げました。私たちは、「協力が必要な時は、お声を!」の気持ちを表すマークである「マゼンタ・スター」を広めていくことで、困った時、協力してくれる人をみつけやすく、誰もが誰かのためになれる世界をつくることを目指しています。
【プログラム実施内容】
今日は、SDGs文化祭の中間発表ということで、全国から集まった中高生が、6月から開始した取り組みの、現在の状況をオンラインで共有しました。それぞれのテーマで取り組んでいる内容と、各グループがどのように企画を立て、実行に移していくのを中心に発表を行い、「工夫したところ」・「うまくいかない点」を共有しました。文化祭当初から、各グループのアイデアのサポート役として参加してくれているエンパワーメンバーと運営のアドバスも交えてご紹介します。
【テーマ別チーム編成】
チームテーマ |
アクション |
ファッション | 古着を利用して若者にアピール |
広報 | 絵本を通して全世代にSDGs発信 |
プラスチック問題 | デポジット制度の導入 SNS(ツイッター)を利用して若い世代に情報発信 |
日本にいる外国人支援 | 富士山のゴミ問題、噴火時災害対策 外国籍の人にとっての日本のゴミ分別 外国籍児童の日本での就学支援 女性差別 |
教育 | 不登校児童・生徒に向けたサイトの開設 |
【テーマ別発表】
■ファッション
古着で若者にアプローチ
ツイッターアカウントを開設発信して古着の再利用・買い取り 情報発信
これからやってみたいこと
- 古着の通販、雑誌「MERY(メリー)」と連携して情報発信
- 環境問題を扱っているインスタグラマーと連携
- 東京✕アフリカコレクションに貧困国から民族衣装を取り寄せコレクションで発表
※エンパワーメンバーのコメント※
着目した点が自分たちの生活から身近で誰でも親しみやすい点と、実施に向けてたくさんのオプションが用意してある点の2点がとてもいいと思いました。選択肢に幅を持たせて実施していくことで、1つが進まなくなっても、他のアイデアにチャレンジできるので偏ることなく現実化していけていると感じました。一方で、協力依頼先が企業であることから、(企業にとって)利益につながらない提案をどう実施に繋げていくかが難しいところ。いろいろとチャレンジしていくことはいいことだと思います。
※コーディネーターコメント※
ファッションは先進国と発展途上国の間で問題になっている分野であるのですが、意外と知られていない問題だと思うので広範囲に発信できればいいと思います。実際のファッションブランドのコラボレーションまで是非たどり着いてもらえればと思います。
■SDGs広報
SDGsを理解するための絵本づくり 「コロナ×SDGs 若者物が立ち上がることで広がる世界と未来」
これからやってみたいこと
- 「はじめの一歩」が踏み出せない若者へ向けての「絵本」を作りたい。
- 絵本の主人公は学生、その周りにいるSDGsから取り残された人達を描く。
- チームメンバーの実体験を元に、読む人が現実に気が付くことができるストーリーにしたい。
※エンパワーメンバーコメント※
「自分たちのオリジナリティーは何か」を意識できており、その点が絵本の内容に反映されていてよかった。当初の「SDGSに興味がない人が取り残されているという問題意識」を引き継いで忘れずにプロジェクトを進めている点が素晴らしいと感じました。この先は、絵本を読んだ人がどうしたらアクションに繋げられるかを考えていく点が重要だと思います。
※コーディネーターコメント※
「絵本」という切り口が珍しく他と重ならない点がとてもいいと思いました。出来上がった成果物をどう効果的に活用するかを合わせて表現できるとより説得力が増しますね。また、「最後まで作品を作り上げる」ということは想像以上に大変です。今回、頑張って1つ作品を仕上げることで、できたものに対して意見をもらえるなど次につなげていけると思うので、最後まで続けて欲しいです。
■プラスチック問題 プラスチック①
プラスチックの回収率を増やすためにはどうしたらいいか
これからやってみたいこと
- デポジット制度をアレンジしての導入
- いらなくなったものをみんなで持ち寄る「リユース・リメイク教室」を運営したい。
- シリアルペーパー、間伐材氏、の再利用を意識した活動をしていきたい。
※エンパワーメンバーコメント※
チームメンバーが1名というなかで、でここまで1人で考えられたことが素晴らしかったです。常に「自分たちができることはなんだろう。」が起点であることが特によかったと思います。最緒から大きいことをするのではなくて、身近な自分にできることを、1つずつ重ねていくことで手伝ってくれる人が増えていくと思います。
※コーディネーターコメント※
「一人だから手近なことから始めてみる。」その身近さで、手伝ってもいいよ。という人が現れるものですので、一人だからこそできることを意識して進めていく、いつの間にか手伝ってくれる人が自然と現れます。より多くの人を巻き込んでいくにはどうしたらいいか。という視点を持って、仲間の増やし方、思いの伝え方を学びながら進めていただければと思います。
■プラスチック問題 プラスチック②
SNS(ツイッター)を利用して若い世代に環境にいいことを情報発信 ~1人1テーマを、4人チームで~
4名で項目別ツイッター発信
①世界中の飢餓問題
②海の豊かさを守ろう
③バイオプラスチックで作るお弁当小物
④日焼け止めクリームに含まれる有害部質
これからやってみたいこと
- 同世代人に関心を持ってもらえるような内容の発信をしたい
- SNSアカウントのなかで、まずは「いいね数、フォロワー数」を増やすことを目指したい。
- まずは若い世代で注目される存在となり、大人や企業にも着目してもらえる存在になる。
※コーディネーターコメント※
項目が担当者の都合で別れていますが、1つの話にまとめて、1つのストーリーとして表現していくと受け取る側・大人・企業は入り込みやすくなると思います。配信していくツイッターと内容を連動させてストーリーを作っていくと興味深い形となると思いました。
4人のそれぞれの活動は成功したら、とても大きな影響を生むことになると思います。その点を目指して、地道にTwitterで配信をしている点をうまく表現していくと、将来の目標への連動性がアピールでき、より説得力が出てくると思います。
■教育
不登校の子が悩みを相談できるようなホームページの開設
これからやってみたいこと
- 気軽な相談を受け付けられるようにしたかったのでサイトを作成
- オンラインイベントを実施して、サポート、情報発信、SNS連携していきたい。
※エンパワーメンバーコメント※
セイフスペース等(個人が安心して過ごせる場所)は普通に学校に行っている人でも必要だと思う。年代の近い人に安心して相談できる場所を提供することがとても大事。個人情報等、安心して相談できるような工夫があるといいと思う。それが何かを僕が提案できないけれど、やわらかい感じで進んでいけたらいいと思う。
※コーディネーターコメント※
「学校にいかなくていいよ。」というメッセージで学校現場では嫌なイメージを持つが、僕は支持します。こういった学校にいかなくていい。という環境が整うと、学校に通う意義を学校が考えはじめ、学校の価値を改めて考察し、社会がよくなっていくと思います。
■外国人支援
4名・各テーマ
①富士山のゴミ問題、防災の状況を外国籍の人に伝えていく
②日本でのゴミの分別
③外国籍児童就学支援
④教育から女性差別をなくす
これからやってみたいこと
- (外国人への)富士山のゴミ問題と噴火対策を伝えていく
- 日本に住む外国籍の方へゴミ分別の方法をわかりやすく伝える手段を考える
- 外国籍児童・生徒向けに学校外で日本語学習ができる機会を増やしたい
- ボイスオブユース・ホームページにて情報発信
※エンパワーメンバーコメント※
次につなげるために、各自が持ついろいろな視点を持ちより、多角的に問題をとらえられている点がいいと思った。連載でボイスオブユース・ホームページにて、記事を書いてみても、いいと思ったので進捗が出たら連絡をいただきたいです。
※コーディネーターコメント※
協力者を探してゆく際、自分のやりたいことを表現すると共に、「私の活動にはこれが足りない。ここを補ってもらいたい」と発信することで、手伝ってくれる人を探すことも大事です。お時間あったら手を貸してください。一緒の考えだったら、参加してください。とメッセージを発信して周りを巻き込む手段を覚えていくのもいいことです。
【11月15日文化祭位に向けて】
参加している中高生みなさん、中間発表会お疲れ様でした。学校の勉強・部活以外に時間を確保して、考えていく作業はとても大変だったと思います。また、オンラインで離れたチームメンバーとコミュニケーションを取る作業も日常とは異なる方法で難しさを感じた人も多かったと思います。目標を叶えるために、どうしたら仲間を増やせるか、どうしたら思いを伝えられるか。今回の文化祭を通して学んでいただけると嬉しいです。11/15の文化祭当日に向けて、中高生のみなさんの準備も佳境に入ってきました。今日出てきたフィードバックを元に、より良い発表を期待しています!
(スタッフ:伊藤)
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